「子鳥は巣にかえる」の解説
【ネタバレ】
※【結末】に関する【重大なネタバレ】が含まれています。
私としましては、興味を持って頂けたのであれば、先に本編をお読み頂けると甚だうれしく思います。
第4話のサブタイトル「子鳥は巣にかえる」は、「Curses, like chickens, come home to roost.」という海外のことわざが元ネタです。
これは「呪いはひな鳥のように巣にかえる」という意味で、日本の「人を呪わば穴二つ」に相当することわざだそうです。
つまり、直接的には「呪いは自分にかえってくるよ」という意味であり、もっと言うならば「人を傷つけたら自分も痛い目にあうよ」というような意味のことわざですね。
第4話は少女クラースが主人公と共に黄泉蔵(ダンジョン)から帰る道中のエピソードなので、まずは単純に、まだ幼さの残る少女クラースを子どもの鳥(小い鳥を指す一般的な言葉の小鳥ではなく「子鳥」)に例えたものになっています。
これが前述のことわざの「ひな鳥が巣にかえる」に対応しています。
――「chicken」にはもともと「小娘」や「未熟な者」という意味もある。
ここで質問です。
「クラース」はラテン語で「明日」を意味する「cras」が由来なのですが、この単語と前述のことわざに出てくる「curses(呪い、単数形はcurse)」という単語は似ていると思いませんか?
単数形の発音は「カーズ」ですが、綴りも響きも近いので、実はこのサブタイトル「crasがかえる」と「curseがかえる」を掛けた、ちょっとした言葉遊びにもなっているんです。
また、このエピソードのメインは、術者にかえる呪いがもののけとなった“カエリオニ”との戦闘シーンです。この“カエリオニ”という存在は、まさに前述のことわざの具現ですね。
かえる呪いがカエリオニになる原因の一つは、呪いが「未熟」であることですし。
これらを暗に示したサブタイトルにもなっています。
そして、ここからは【物語の結末にかかわるネタバレ】ですが――。
いくつかの伏線を経て、第10話「もう遅い」ではクラースが近所のお姉ちゃんを呪っていたことが発覚しますね。これにより、第4話で彼女を襲ったカエリオニは彼女自身の呪いによって生じたものであることが示唆されます。
そう解釈するとこれは、「子鳥が家にかえるように、家にかえる少女クラース(cras)自信に呪い(curse)がかえる」というエピソードを示したサブタイトルになるわけです。
色色と詰め込んでみたサブタイトルだったのですが、いかがだったでしょうか?
私自身も楽しみながら決めたサブタイトルを、みなさんにも楽しんで頂けていたなら幸いです。
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