第40話:暗器
今回の襲撃者は短槍使いと剣士に短双剣使いの暗殺者と魔術師に見える。
いや、襲撃を確実に成功させるために、そう見せかけようとしているのだろう。
この4人組は何度も一緒に襲撃を行っていると思われるくらい連携が取れている。
短槍使いと剣士が同時に突っ込んできたが、少し遅れて暗殺者が来る。
本命は短双剣使いの暗殺者に見せかけて、実は魔術師が強力な呪文を唱えている。
「シュッ」
鋭い風切り音を伴いながら短槍と長剣が襲ってくる。
だがその後ろから来る短双剣と魔術に備えないといけない。
普通なら少々の腕の差では撃退できない連携技だ。
格段にスピードがあれば別だが、普通なら襲われたら確実に殺される。
だが俺は普通ではないスピードとパワーを持っている。
「パン」
俺は自分の力を見せつけるために襲撃者と遊ぶ気はない。
背後に大切なリヒャルダがいるから当然のことだ。
俺には大賢者から得た情報で手に入れた莫大な魔力と魔術がある。
それを使って襲撃者が想像もしていない対処をした。
無詠唱で麻痺と昏倒と睡眠の魔術を襲撃者たちに叩きこむ。
「「「「バタ」」」」
ほぼ同時に4つ目の魔術、防御魔術を俺とリヒャルダにかけてある。
意識を狩った敵が勢いあまって突っ込んで来られたら目も当てられない。
大賢者から得た魔力と魔術なら1つの魔術でも十分効果があるのだが、心配性で慎重な性格が同時に4つの魔術を唱えさせてしまう。
「リヒャルダは絶対に俺の背後から離れないように」
自分の背後を護ってもらうというよりも、リヒャルダを背後に庇ってる。
そう口にしてしまうとリヒャルダが俺を護ろうと前に出てしまうので、これだけは俺が死ぬまで口にするわけにはいかない。
「リヒャルダ、この短双剣使いが一番の強敵だったんだよ」
何があってもリヒャルダを護るつもりではあるが、自分を過信してはいない。
だから機会があるかぎりリヒャルダにも強くなってもらう。
今回のような襲撃をリヒャルダが受けた場合にも逃げ切れるようになって欲しい。
その場合には一番の敵を見極める力も大切だ。
「見てごらんリヒャルダ、こいつの袖の中に袖箭が隠されている。
この4人組の中で一番厄介なのはこいつだったんだよ」
この短双剣使いはいくつもの欺瞞を混ぜてターゲットを殺そうとしていた。
まずは本命の攻撃は魔術師だと思わせていた事。
次は短双剣使いだと思わせていた事。
暗器のなかでも袖箭を使って間合い、俺を攻撃できる距離を騙そうとした。
短双剣で攻撃してくると思っていたら、袖箭で目を射抜かれてしまう。
まあ、俺なら余裕で避けられるけどね。
「こいつらを牢屋に叩き込んだら、リヒャルダがこれと同じ方法で襲撃された時の対処法を教えるから」
「はい」
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