第3話 白い呼吸

”ふーっ”と呼吸して

自分の吐く息の白さに

また微笑む彼女


僕も空を見上げ

真似をしてみる


”ふーっ”


同じに白い


彼女は肩をすぼめる

僕は彼女が寒そうにしている事に気が付くけど

どうしていいのかは

思いつかない


だって

自分の制服の上着を脱いで

渡したって

困るだろ?


そう言うのって

好きな異性からだったら

良いかもしれないけど

話したことも無い

僕なんて


通行人ぐらいの距離感だし


気持ちが悪いだろうし


そう思うと・・・できない・・・


彼女は両手を擦るように合わせて

指先に息を吹きかける

彼女の白い手の先に

ピンク色になった指先


そんなに寒いなら

せめて室内から見たらいいのに


僕はそう思う事しかできなかった


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