へむ
よく冷えた
へむを冷蔵庫から取り出して
その勢いを保ったまま
わたしは一気にぐびっと飲み干した
「ぷはあっ」
ふいー
生きている
その実感があった
そこでこの詩は中断された
読者が向こうで何か言っているのだ
「へむって何?」
「液体」
さあ詩の続きを続けよう
わたしはへむを飲み干すと姿勢を変え
妻の方を見た
妻は人形
何一つ文句も言わず都合が良い
こちらの特殊な性癖にも一切、口答えをしない
そういった存在をわたしはずっと求めていた
とにかく現実世界の女なんて言うものはがたがたと文句を抜かすだけのろくでもない存在だ
それなら肺呼吸なんて最初からしていない方が良い
わたしはへむの空き容器を屑籠へ叩き込んだ
世界が自分仕様になりつつあるのを感じた
部屋の隅で何かぶつぶつ言ってた存在も今は完全に消失
いつだって衝動のまま生きてその後処理に追われろ
世界中のあらゆる解説者を殺せ
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