甘さ控えめではない
おれはさ
説明するのが嫌いなんだよ
例えば今、目の前にある
このケーキはさ
甘さ控えめではないんだが
甘さ控えめではないんだが
重要だから何回、繰り返したっていいんだ
甘さ控えめではないんだが
おれは
いちいち説明なんかしない
「食べる価値の無いものだ」
そのくらいしか言わない
がたがた抜かす奴には鉄拳を顔面のど真ん中にぶち込んでも良いと法律でも定められている
奇妙かつ不可解な言葉がすらすらと出て来る方がおかしいのだ
不味かったらその時はただ黙るだけ
そして退店時に店ごと放火して従業員もろとも焼き殺すだけ
死ねよ
ああ死んだのか
おれは業火に包まれた『自称おいしいケーキ屋さん』をぼんやりと振り返って見つめた
なんだが誇らしい気持ちだった
(おれは間違っていない)
その確信が何処からともなくやって来た
全然おいしくない『おいしいケーキ屋さん』がこの星の上から一軒、消滅した
その事実がおれをほっこりとさせてくれたのだ
ほっこりは偉い
やって来た警官はおれを即座に逮捕した
だが路地裏の人気の無いところへパトカーが差し掛かるとこっそり逃してくれた
話しを聞くとどうやらその警官も常日頃からあのおいしくない『おいしいケーキ屋さん』を襲撃して自由気ままに発砲などしてみたいと思っていたようだ
おれは頭をなでなでされ家へと帰された
「後日、表彰状を送る、もちろん非公式のだがね」
おれは笑顔で頷いた
もちろんそんなもん破り捨てるが
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