占い


「来週、頭蓋骨を叩き割られて死にます」

目覚ましなんとかとか言う低俗な情報番組が画面の向こうからそうおれに告げて来た

血液型がそうさせるのだそうだ

そしてそこからけして逃れられないのだそうだ

「何か根拠はあるのか?」

おれは画面に向かって尋ねた

アナウンサーが半笑いで言った

「あいつテレビに向かって話し掛けていますよ」

隣りに座っていた淫売女も笑い始めた

「詩とか書いてそうですね」

スタジオが爆笑で包まれた

おれは刃物を握り締めて立ち上がった

もはや連中を刺殺しない理由は何処にも無いように思えた

生き延びることよりも優先しなくてはならないことはある

それは自分が自分であり続けることだ

アナウンサーが笑みをやめ神妙な顔つきになり頭を下げた

「先程の占いコーナーで訂正がありました、来週ではなくて今週です」

失礼しましたと言って勝手に番組を終了させた


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