第12話 手平町民大会決勝戦~VS雪野マフユ~②
意識が浮上すると、いつもの白いフィールド。
完全に意識が覚醒すると、ムギがアタシに声をかけてきた。いつもはアタシが先なのに、珍しい。
【みゃっ!】
「今日はいつも以上にやる気だね。ムギ、頑張ろう」
【みゃ~!】
【貴方方が溫井ホノオ様とムギ様ですね】
いつものやり取りをしていると西洋の竜をモチーフとした蒼い機体のロボ――ブリザードドラゴンが和やかに声をかけてきた。
【お初お目にかかる、私はマスター・雪野マフユ様のロボ、プライズと申します】
戦いの場において、紳士に挨拶する姿に余裕を感じられる。だけど、アタシ達を下に見ているという訳ではない事も感じ取れた。
そんな姿のプライズに一言。原作と全然違う!!!!!!
原作のプライズは雪野マフユの性格に引っ張られるような形で高慢な性格で上から目線、見下し発言は当たり前のロボになっているんだけど、目の前に居るプライスは紳士すぎないか? いや、本来の主人公の性別は男だから原作では上から目線なのかもしれないし・・・・・・。
もう考えるのはよそう、今はそんな事を考えている場合も暇もない。
『両者! 準備はいいか~!?』
「大丈夫です」
「ボクも大丈夫だよ」
『それじゃ・・・・・・、バトルスタート!!!!!!』
ジン・キョーが試合開始を告げると観客達は一際大きい大歓声を上げた。
決勝戦だけあって、観客達も気合いが入ってるな。この中で無様には負けたくない。
無様に負けないためにも冷静に行動しないといけない。あの時みたいに、陣ライガ戦の時のように取り乱したりしない、勝つためにも冷静に!!
先ず、雪野マフユはどう出てくるか見てみるか。
「右手スキル・連続パンチ発動!! ムギ!! プライズに連続ネコパンチ!!」
【みゃっ~!!】
攻撃力は小さいけど連続で攻撃を出来るスキル・連続パンチで様子見だ。
赤いグローブを着けたムギの右手がプライスに向かって連続パンチを繰り出すが。
「プライズ」
【了解しました】
ムギの全力連続ネコパンチはあっさりと避けられてしまった。
やっぱり、この程度の攻撃は避けられるか。
「ふふ、様子見で攻撃という所かな?」
う。バレてる。
「だけど、コソコソされながら戦うのは好きじゃない。だから・・・・・・、脚部スキル・ジェットターボ発動!!」
ブリザードドラゴンが脚部スキル・ジェットターボの効果によって浮き上がると、今度は目にもとまらぬスピードでコロシアム中を飛び回る。
これじゃあ、攻撃なんて当たらない!!
【みゃ、みゃ~・・・・・・】
「ムギ、無理に目で追わなくていい。目が回るだけ、今はいつ攻撃されてもいいように小判の盾を発動して」
【みゃっ!】
攻撃が来ないなら待つだけ、攻撃が来るまで待とうホトトギス!!
今の時点で原作とこの世界の雪野マフユの戦い方に違いはないかな。
雪野マフユはブリザードドラゴンのスピードに絶対の自信を持っていて、それでスピードを生かした戦法を得意としている。
だけど、スピードを重視するあまり他、特に防御を疎かにする傾向にあった。
そこを勇気ユウマに指摘されたが、彼への対抗心とプライドの高さ故に聞き入れず、ホノオとの戦いで紙防御だったせいでホノオのホムラドラゴンの全力攻撃に耐えきることが出来ず敗北、それを機に勇気ユウマに持っていたライバル心をホノオにシフトするのだ。
だけど、陣ライガ戦の事と勇気ユウマから師事を受けているという話から、この世界の雪野マフユは防御にも抜かりはないと考えている。
この世界と原作で似ているようで似ていない部分がある。
それを陣ライガ戦で解らせられた。
まだ原作と切り離す事が出来ない部分はあるけど、陣ライガの戦い方が原作と違うなら、雪野マフユも違うはず。
今は、相手が動くまで待とう。焦ってはいけない、アタシは勝つって決めたんだから!!
チラリとマフユはムギを見る。
コロシアムをハイスピードで飛び回るプライズに動じず、小判の盾を構えながらじっと待っている姿にマフユは笑みを零す。
「ふうん。此方から攻撃してこないかぎり動かないと言ったところかな?」
【そのようですね。ですが、私のスピードを見て動じないとは、流石、マスターが認めたバトラーでありますね】
「ああ、彼女、ホノオさんとなら、きっと良い試合になると思っている。
だから、全力で行こう」
【はい、解りました。固有スキル・氷の翼を発動!!】
プライズは背中の翼を大きく広げると、其処から氷柱を放出させる。
コロシアムに突き刺さった氷柱は、突き刺さった周りを凍りづけにしていく。
これが、ブリザードドラゴンの固有スキル・氷の翼。触れたものを凍らせる氷柱弾を放出させるスキルだ。
だけど、それだけが氷の翼の恐ろしさではない。
「プライズ、スピードを上げるよ」
【全てを凍りづけにするつもりですね?】
氷の翼はスピードを上げれば上げるほど、放出する氷柱弾の数が増えていく仕組みになっている、最大、一回で百発の氷柱弾を出すことも可能だ。
「ふふ、凍っていく世界でどんな風に動くか魅せてもらうよ、ホノオさん」
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