第7話
『マスター?』
「先ずは一気に高ポイント的に当てていこうじゃないか! さてと、的当て用スキン発動!!」
マフユはプライズが何か言う前に競技用フィールドから送られてきたスキンを発動する。
発動されたスキンはアーチェリーで使われる弓、これをプライズは装備したのを確認すると的を背負ったメカカメ達の目が光る。
「プライズ、ボク達の力を見せつけよう!!」
『ええ、貴方とワタクシが最強である事を見せつけましょう!!』
プライズはそう言い放つと高得点の赤い的に向かって矢を放った。
――――――
雪野マフユの先攻で始まった的当て。
雪野マフユは的確に高得点の的を当てる。
しかも、動く的を。
『10分経過、スピードを上げます』
そうアナウンスが流れるとメカカメ達の数が増え、動きが速くなる。
しかも結構速い‼️
「プライズ、いけ‼️」
そんな状況にも関わらず雪野マフユは冷静に対象していく。
矢が複数に分かれ次々に的を当てていく、だけど絶対にマイナス的に当てない。
これで初心者? 嘘でしょ?
「むっは~、さすが天才と呼ばれるバトラー‼️ 凄い凄すぎます‼️」
桝ココミが興奮しながら写真を撮る。
華麗に的を当てていく姿は正に天才と言うしかない。
待って、これは勝てない。
絶対に勝てない。
あの時、ロボ競技なら勝てると思ったアタシを殴りたい‼️
これ不戦敗じゃダメですか?
そんな事を思っている内に10分ごとにスピードは上がり的は増えて・・・・・・、ブーと終了の音が無慈悲になった。
雪野マフユのスコアは・・・・・・、1万!?
確か、制限時間は30分、その間にこれだけポイントを獲ったの!?
やっぱりこんなの勝てないよ!?
「溫井さん」
顔を青ざめさせるアタシに声を書けてきたのは雪野さんだった。
優しく声をかけてきた雪野さんは無表情だったけど、アタシを安心させようとしている事は解った。
「妹である私が言うのもあれだけど、兄様の実力は確かに初心者の溫井さんには勝てない相手だと思う。
けど、私は溫井さんには負けてほしくないと思ってるし負けたとしても良い勝負になるとも思ってる」
雪野さんが必死に言葉を選んでアタシを励まそうとしてる。
もうそれだけで尊い!!
「やあ、溫井さん。ボクの活躍は見てくれたかな?」
雪野さんに萌えてたら、雪野マフユが話しかけてきた。
貴方、いちいち自分の活躍を聞くようなキャラでしたっけ?
「凄かったよ」
とりあえず笑顔を作って無難に答えると雪野マフユはニコーと笑った。
そんなに嬉しかったの? 貴方、チヤホヤされてる時に結構言われる言葉だから聞き慣れてると思うんだけど。
「さあ、今度は溫井さんの番だ。君の実力、この目で確かめてもらうよ」
サラリとアタシの髪を撫で、雪野マフユは雪野さんの元へ。
え・・・・・・? 彼奴、アタシの髪を撫でたんだけど。
本当にそんな事をするようなキャラだったけ? 此処に来てから同じ事を何回も言ってるような気がする。
さて、気を取り直してダイブエリアに行こう。
雪野さんがアタシに送ってくれたエールを無駄にはしたくない。
アタシは主人公になるのは嫌だけど負けるのはもっと嫌なんだよね。
難儀? そうだね、主人公になるは嫌な癖に負けるのは嫌、可笑しいと自分でも思うよ。
だけど、前の、前世の頃から筋金入りの負けず嫌いだから、これは仕方ない。
「ムギ、行くよ」
誰にも聞こえないよう掛け声を相棒にかけた。
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