第18話 第二皇子、ヨシュア・クインの熱誠
エリオットはまだ学生で、未成年のくせに、なかなか話しがいのある奴だった。
自分の側近候補を、帝国に放り込んで学ばせているだけはある。
それで用事が済めば、考えているのはもう彼女の事だけだった。
バイス王国の王女が、俺にあからさまな好意の視線を向けてきていたな。
頭空っぽですぐに遊んでくれそうな女の子は、少し前なら都合がよくて好きだったけど、今はもうなんの興味もない。
あ、そうだ。
彼女へのお土産は、稀少鉱石クインタイトがいいかな。
帝国の技術を集約して、精製したものだ。
着飾る為の宝石などではない。
機械工学に利用できる、貴重な資源だ。
国外へ持ち出せる量は少ないけど、彼女ならこれを上手く使うのではないか。
で、それのついでで本物の宝石も少しだけ。
多分、彼女は宝石には見向きもしないのだろうけど、俺的には味気なくて悲しいから、宝石箱にそっと添えてみた。
早く会いたいな。
自分の腕の中にすっぽりと収まる華奢な身体なのに、勇ましい姿も見せる彼女の事が頭から離れない。
今回はお礼が口実で会ってくれるけど、肝心なのは、その次の約束を取り付けられるかだ。
俺、信用なさそうだしなぁ。
「あのお嬢さんを妃として帝国に迎え入れる事ができれば、貴方の地位は安泰です。弟皇子や、兄皇子に対抗できますね」
「いや、いいよ、俺は。俺は婿になるって決めたんだ。帝国内に留まるつもりはないよ。アリアナ、結婚してくれないかなぁ」
アーネストが余計なことを横から言ってくるけど、アリアナとの事は真面目に考えたかった。
ほんの短時間を一緒に過ごしただけだけど、あの子を逃したら、俺は結婚しようと二度と思わないはずだ。
「この訪問に賭けるしかないな」
自分で百戦錬磨と言っていたのに、今までの経験が、彼女に対しては何一つ役に立ちそうになかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます