第12話 側近、アーネスト・ベルマンの安堵
「姿が見えないと思ったら、あの人はまた、どんな所でどんな女性をナンパしているのです……」
同行している部下と共に、遠くからその場所を双眼鏡で見ていた。
一瞬、我が主人がエリュドラン王国の機士団に囲まれているのかと思って、嫌な汗が流れた。
どこぞの令嬢を知らずにナンパして、婚約者あたりに報復されてもおかしくはない。
実際に、何度もあったことだ。
それが今まではなんとか逃げられる相手だったから良かったものの、エリュドランの軍隊に囲まれたらもう、我が帝国としてもどうしようもない。
蟻が這い回るように、壁だろうが天井だろうが断崖絶壁だろうが張り付いて動き回る、あの装甲兵器は、小国を帝国と渡り合える軍事力に底上げしている。
型落ちしたものを帝国に流してはくれるが、最新兵器は絶対に他国に出そうとはしない。
そんな、軍事力が未知数の機士団に囲まれて何をしているのかと思えば、遠目に見ても美人だとわかる女性に丁寧に頭を下げられていた。
我が主人が何かをやらかして平謝りするのではなく、女性にお礼をされているようだ。
あの、機士団を動かすような女性にだ。
これはエリュドランに恩を売る絶好の機会だ。
やはりあの方には天が味方している。
だがそれよりも今は、ヨシュア様が蜂の巣にされずにすんで、私が責任を取らされずにすんで良かったと安堵しておこう。
「行くぞ。ヨシュア様と合流する。今度はあの方に逃げられないようにしなければ」
後ろに控えていた護衛騎士達に声をかけて動き出していた。
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