第5話 ダンジョンと配達人&戦闘ヘルプのメイド

「ピザとサンドウッチとクリームスープ ナポリタン チキンにサラダ コーラ コーヒー 紅茶 それに はい ミルクとお砂糖も 了解しました 

食後のアイスはオレンジ味 

それからプリン 苺ジュースですか」


「ああ、それとヘルプも一回分の小戦闘 一人ですね ちょっと待ってください

戦闘パラメータを確認します あ、了解です」


「状況提示 問題はなし このレベルなら そうね」


その言葉で 宙に浮かぶ コンソールパネルでお客の戦闘状況 敵のレベルを確認してから

一人の別のメイド姿の少女に声をかけた

「エアリンちゃん 手、空いている?」

「了解」メイド姿の二人が受け答えしている


軽装の鎧をそのまま身に着け 弓矢を背に魔法石のついたショートソードを

腰のベルトに差し 淡い青髪の少女エアリンは 

手早く準備された注文ランチの数々を大きな籠に入れると籠は小さな宝石になり 

それをペンダントにして首にかける


「うふっ」笑みを浮かべるエアリン

長い呪文を唱えると 足元には小さな魔法陣

メイド服のスカートが大きく 魔法陣 足下からの風に広がり 舞う

「では 行ってきますね」

フッと姿が消え ダンジョン40階層 西の風紋にエアリンは 姿を現す 

「あ、あそこね」エアリン 岩場、沢山の岩が並んでいる中を走る


数人の冒険者たちが モンスターと戦い苦戦している

「おい、戦闘ヘルプはまだか!」「今、スマホで連絡したから すぐに来るとは思う」

「ご飯も来るぞ!」「素晴らしい!」涙もつい出てしまう冒険者達


「小太郎様、御一行さまですか?」少女の可愛らしい にこやかな声

「ああ、そうだ 君は?」ドキドキしながら問う小太郎


愛らしい黒を基調にしたメイド服 その上から軽装の鎧の少女

「ののはな亭のエアリンです ご注文の品のお届けと戦闘ヘルプに来ました」

愛らしく にこやかに微笑む 笑顔は0円であるが それでも何気に嬉しい


「おおお!食事に戦闘ヘルプさんだああ」小太郎一行さま 声が本当に嬉しそう

「指示ください」エアリン


「あ、数が多すぎて どうしていいか」絡んでくるスライムを切り倒す

確かに・・百近いスライムの群れに ミニゴブリンの群れ

下等モンスターといえど 数が多く駆除出来ない有様 逃げ道も塞がれているようだった

エアリンは早速、攻撃態勢となる

「ええい」剣を振るい 後ろから 襲ってきたミニゴブリンを切り倒す

次に弓で 次々と矢を放ち 小太郎の仲間を助ける


「ふむ、では 私はスライム達とミニゴブリン達を凍り漬けにしますから

後で 好きなだけ砕いてポイント稼ぎしてくださいね」


ショートソードの剣の柄にある魔法石 柄を魔法の杖代わりとして使用 魔法石が光を放つ

「女神の名の元に 敵なる者達に冷たき風よ 彼等を包め アイスング」

冷えた風が吹く ピキン!ピキン!次々と凍りつくモンスター達

「さあ、こんな処かしら?」エアリン


一面の凍り付いたスライムにミニゴブリン なかなかに壮観な風景かも知れない

「ふう」いい仕事をして 頑張ったエアリン


「助かったよ」小太郎 「いえいえ うふ」エアリンは微笑む

一応の決まりで 注意事項を話始める

「緊急時以外 特にクエストの大型モンスター討伐は ご存じの通り 正式契約以外 

私達ヘルプは禁止となっています」


「そのようなモンスター討伐の手伝いは ギルドを通し 正式契約の上となっていますから

また危険領域になり救助の必要性の場合、小戦闘などは 緊急事項として

臨時的に認められていますけど」

「うん、そうだね」うなずく冒険者達


「メイドさんは 戦闘ポイントはもらえないの?」素朴な疑問を聞いてみた冒険者

「大丈夫です 街の代表メイン・ギルド紅花から 戦闘ヘルプの特別ポイントとして

入ってきますの それでレベルUP うふふ」「うふ ですから・・ね」

「大丈夫ですのよ ご心配ありがとうございます」


「さあ、では皆さま お疲れ様です お食事タイムですね」

ペンダントのトップ 宝石部分を外すエアリン


何やらスイッチを押すと 宝石は大きな籠となる

籠の蓋を開けると 漂う良い香りのクリームスープにピザの匂いが鼻孔をくすぐる

パスタもいい香り「ああ、美味しそう」「そうだな」幸せそうな笑顔

「喜んでいただいて 良かったですわ」


軽装の鎧や武器が消え 頭にメイド用の頭飾りをするエアリン

楚々っと 服のスカートの部分 裾をつまみ 軽く会釈


「では 皆さま」

薄い敷物を広げ 皿やコップを置く 保温瓶からカップに 暖かなコーヒー、紅茶も注がれる

次に氷を入れたカップには コーラに苺ジュース


「食べ終わりましたら いつものようにお手数ですが

籠の中に御戻しくださいませ 使い魔か小人のコロボックルさんが取りに来ますから うふふ」


籠の中から チケットを取り出すエアリン

「あ、こちらはキャンペーン中の街の温泉とダンジョンの中の温泉チケット

それにダンジョンにある宿屋兼出店の『ののちゃ』店の割引チケット」


「それにプリンの一回無料券となります」微笑みながら そっとチケットを差し出す


「え、いいの?」「はい」

「・・温泉か 久しぶりだ」ほんのりと涙が浮かぶ


「では皆さま 討伐 クエストのお仕事を頑張ってくださいませ

お夕食や必要備品のお届けも 夜7時まで 受け付けております


緊急時のSOS対応の場合は 24時間メイン・ギルド紅花の特別チームでの対応となりますが

夜7時までなら こちらでも特別対応可能です」


「5階層、10階層には 私達 ののはな亭の出店兼宿『ののちゃ』もございます

宜しくお願いします」足元に魔法陣 エアリンの姿が消え去る

「可愛いメイドだった」「うん、名前を聞くのを忘れた」

「さあ、食べよう」「ああ、美味しそうだ」

「凍ったミニゴブリンにスライムにとどめをさして それから・・」


「隣のドワーフ王国に売る レアアイテムの魔石を捜す 

それにドロップアイテムもゲットだ」

「おお~!」元気な声を上げる冒険者達


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