13,ロウアーマンハッタン WTSの爪痕 4日目
地下鉄に乗ってマンハッタンを南下。同じ車両に乗っていたオバちゃんから、「リュックについてるマスコットかわいいね」と言われる。こちらの方たちは、ほんとうに、なにか気になったら話しかけてくれるらしい。
目的の駅に着いたけど、どっちに進めばいいのかわからなかった。でも観光客っぽい服装の家族が駅を歩いていたので、ひっそりついて行ってみることに。ここで話しかけるとかすればいいのによォ。
地上にでるとそこはもう、あの跡地だった。9.11の時、ニュースで見た場所に来た。
少し小雨が降って肌寒い。ツインタワーのあった場所は水の流れる空間になっていて、淵には名前が刻まれていた。たくさんの人々の名前だった。まったく知り合いでもないし、接点もないけど、いくつか声にだして呼んでみた。
隣の建物に展示エリアのようなものがあった。ガラス越しに覗き込むと柱が置いてあった。崩壊したビルの一部だった柱だ。これがいとも簡単に折れて連鎖して崩壊したのか。
今自分のいる場所には当時、いろいろな崩壊物があったのかと思うと、変な気分になった。崩壊物といっても、無機物だけじゃなくて生きてた人もいたはずだ。ビルで働いていた人、駆け付けた消防士、警察官、ただ通りすがりの人。
いろんな人がいたはずだ。現代でそんな光景が実際にあったのかと柱を眺めながら考えていた。遠い国の話だと思ってたけど、そういうわけでもなかった。
再び跡地を歩いてみて、その場を後にした。
余談だけど、日本に帰ってきてから見たCSI:NYのエピソードが9.11だった。まさに見てきたものがドラマの中で再現されてて、自分は当事者でもなんでもないけど、「あぁ…」と思い、言葉にならなかったなぁ。
ドラマなんだけど、ドラマじゃなかった。
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