第21話
それから暫くの時が経ち、公爵(仮)になった私は同じく公爵(本物)になったレオルドと再会を果たした。
私はレオルド公爵からの手紙の元、また新聞屋に来ていた。
「迎えにきたよ、お尋ね者のお嬢さん。」
そう言ってフードをまぶかに被った少年は、新聞屋へやって来たのだ。
「ああ、今は公爵様か。
まさか公爵になるなんて、流石に想像してなかったや。」
なんて冗談を言う様に笑いながら話しかける。
私は深々と頭を下げた。
「この説は本当に色々と助けてくださり、感謝しても仕切れません!
ありがとうございます!」
首を何度もぶんぶん振りながら私は必死に感謝の意を伝える。
「あは、相変わらず大袈裟だね。」
そう言って少年はフードを外す。
そこには甘いフェイスで世の女性を虜にする、レオルド公爵の姿があった。
改めて近くで見ると、破壊力が凄まじい。
サラサラの金髪に吸い込まれる様な碧い瞳、男性なのに長くハッキリとしたまつ毛、薄く濡れた唇と、どこをとっても美少年のそれに、思わずたじろぐ。
「というわけで、約束しに来ましたよ、お嬢様?」
にこりと微笑む姿にドキッとしてしまう。
美少年というものは本当に心臓に悪い。
「約束、とは?」
「ああ、その前に、テレビ越しでしか伝えられていなかったので、改めてお伝えしますね。」
「俺と結婚して下さい、お嬢様。」
私は一瞬誰も見たことのない宇宙の光景が見えた気がする。
要するに信じられないことだ。
「いや、何故?」
何故レオルド公爵が、私に求婚してくるのだろう?
虐められて可哀想だったから?
そもそもレオルド公爵は今や一国の人気者、女性なんてよりどりみどりだ。
なんなら街中で歩いている女性にいきなり結婚して下さい。なんて言えば100%オッケーしてくれるだろう。
そんなレオルド公爵が何故私なんかを?
私が公爵(仮)だから政略結婚?
確かにこちらと隣国の協定をより深くすることは出来るかもしれないけれど。
いやしかし、今回の一件でこちらも隣国も痛み分けの状態なのだから、政略結婚なんて、必要ないのでは?
私はよほど信じられないという顔をしていたのか、レオルド伯爵はハハハッと笑っている。
その笑い顔はアルデーレおじさんに似ていて、やはり2人は親子なんだなとつくづく思った。
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