第七魔眼の契約者

文月ヒロ

第一章:始まりの契約

プロローグ・【第七魔眼】と【最弱者】

 ――では、契約に従い共に成そう、神殺しを。


 【魔眼】が嬉々として発したその言葉に、少年は小さく溜め息を零す。

 随分と物騒な台詞だが、確かに神を討つくらいしないと、を捻じ曲げるには至らない。

 本当に、全くもって不本意だ。確かに自分は【魔術師】だ。しかし、殺人歴すらない己が、まさか殺歴を作る羽目になるなど誰に予想出来ようか。精神的にも肉体的にも、これから消費する魔力量的にも厳し過ぎる事極まりない。


 しかし、もう既に引き返せる段階ではないのだと、少年は悟っていた。


 こんな事になるのなら、落第なんてするんじゃなかった。



 今日何度目になるか分からないそんな小さな後悔が再び生まれ、彼――和灘わなださとるの脳裏に数日前からの記憶が瞬時に蘇った。




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