第10話 バスはゆく
今朝起きたのは朝食の開始時間ギリギリだ。
たしか朝食のビュッフェの食堂は、昨日の夕食や紅茶を頂いたのとは別の場所だったが、窓が多くて明るい印象。
身支度を済ませて食堂に入ったころには、通路から遠い席しか残っていなかった。私たちと入れ替わるくらいのタイミングで、もう一つの団体も朝食の時間になるとか。
今日は日差しが強いし暑くなりそうだな、と思いながら少し忙しない気分で食べた。
ハムとチーズが美味しかった。
願わくばまた来られますように。モン・サン・ミッシェル。
* * *
バスは牧草地帯をゆく。
サービスエリアに着いたら買っておきたいものが、水のほかにもある。
音声ガイド用の電池だ。
昨日はぐれたのをきっかけに、音声ガイドの ONとOFF を切り替えるのをすっかり忘れていた。そのぶん皆より早く電池残量が減っているはずだ。
本来なら、電源を切るタイミングは添乗員さんが知らせてくれるのだが、それも受信できる範囲にいる前提の話。もちろん私のせいであって、添乗員さんのせいと言いたいわけでは全くない。
ドライブインは周りに芝生が広がって、爽やかだ。
水と電池を買うと1ユーロ分のクーポンをもらえた。これは同じチェーンのドライブインの有料トイレで使えるとのこと。
この時は買い物の前にトイレを済ませたので、次回にとっておいた。
時間に余裕があったのでアイスクリームを買ったのは、この日だったと思う。
チョコレートとストロベリーの2色でコーンに乗っている。アイスを落とさないように気をつけて、平らな芝生の上を早足で歩いた。「今度バスが止まるときは昼食だけど、まあいいや!」と思ったのを覚えている。
メーカーのロゴマークも可愛らしかった。クリームを思わせる白い線で、ハート形が一筆描きで二重に描いてある(これと同じマークを、最終日のハイデルベルグでも見た)。
アイスをバスの座席でのんびり食べた。
たまには別腹が先に満たされる日もあるのです。
ところで、走るバスの窓から、牧場の道路ぎわのところに、球体や三角錐のオブジェが数十メートルおきに設置されているのを見た。あれは何だったんだろう。
(もしかしたらこの時ではなく、前日にシャルトルから移動するときに見たのかもしれないが、フランスだったのは確かだ)
やがて窓の景色は賑やかな街中へと変わってゆく。店や家や道沿いには、夏らしく花壇の花が咲いている。
(次回、ヴェルサイユ宮殿へ!)
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