第63話 でもおっぱいもんでキスして

 マオマオ魔王ちゃんの『名義変更』。今度の名前は『でもおっぱいもんでキスして』。さ、どうなるかな。俺の予想だと。むふふ♪ 


 はっきり言って、『クソちびるわ』の身体的ダメージと屈辱感、凶悪性に比べたら優しいもんだろ?


「なにをこそこそ、話しているのクラン」と、案の状、お怒りのパエラ様。


 もしかして、マオマオ魔王ちゃんだけでなくて、俺も討伐対象に入ってるのかもな。じゃないと、勇者候補生五十九人はつれてこないだろうし。


「空気中まであふれる、まがまがしい魔力の渦。まちがいないわ。討伐してくれよう! そして、この世に生まれてきたことを後悔するがいい魔王でもおっぱいもんでキスして!」


 パエラ様、突然、召喚士のマントを投げ捨てる。そして、重ね着したコートも一枚脱ぎ捨てる。


「はっ? 私はなぜこんなことを?」


 でも、言葉とは裏腹にパエラ様はインナーまで脱ぎ始める。いいぞ! いけ! 全部脱げ!


 ロングスカートまで脱ぎますか。おお、騎士団とも見まがう高身長のおかげで、セクスィー♪ あらわになった下着。水色ですか。よくお似合いです! 


 右足を前に。さらに、左足をその前に出して、モデル歩き。胸もはだけちゃって。俺の方に歩いてくる!


「パエラ。いいのか? ドリアンじゃなくて俺で」


「よ、よくないわよ!」


 パエラ様、顔真っ赤! リンゴより赤い。こりゃ、今夜は熱でうかされるんだろうな?


「なんなのこの魔法は! 赤いパトスね。欲望をかきたてられるわ……一言で言うと。なんだかムラムラしてきたわ……」


 パエラ様戸惑ってる。大丈夫。俺が優しく胸をもんでやる!


 指をわななかせながら俺は、腕を伸ばす。パエラ様まであと十歩。


「ちょっとアメルメ君。私がもむんだから」


 俺の肩をつかむなマオマオ魔王ちゃん! その胸もむぞ!


「マオマオ魔王ちゃんは自分の胸、もめるからいいじゃん」と、おさわりしとく。キリっと睨まれた。おっと、危ない。敵意はひかえめにな。じゃないと、俺も『でもおっぱいもんでキスして』状態になってしまう。


 でも、マオマオ魔王ちゃんは、すぐにほほを赤らめたんだ。そんな一瞬のデレデレ具合もタイプゥ。


「どっちがキスしてくれるのかしら?」と、パエラ様、色気ムンムン。大人って怖いね。


 俺とマオマオ魔王ちゃんは顔を見合わせる。マオマオ魔王ちゃんも、俺もにんまり笑う。


「交代でキスしてやるよ」

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