大聖女としてホワイトな王宮で雇われます
王子の命が救われたという事で私は国王と王妃に呼び出されました。
二人とも流石に王子の両親だけあってとても美形でとても若々しいお方ですか。
「聖女、いや、大聖女セシリア殿。あなた様のおかげで我が息子ランスロットの命は救われました」
「なんとお礼を申していいものか。あなた様のおかげで我が息子の命は救われました」
国王と王妃は喜んでおりました。私は大聖女としての務めを果たしただけだというのに。
「いえ、当然の事をしたまでです」
「あなた様にとっては当然の事だとしても我々にとっては大変ありがたい事なのです」
「ええ。誠にありがとうございます。大聖女セシリア様」
二人はそう感謝を述べてきました。私は息子である王子からいきなり求婚された事は黙っておきました。ややこしくなりそうだったからです。
「それで国王陛下、王妃様。私はなぜこの王国によばれたのでしょうか?」
ギルという執事からある程度話は聞いてはいましたが、大分前の事なので忘れてきましたし。一応確認のため、国王と王妃に私は聞いたのです。
「はい。それなんですが、実は我が国には聖女と呼ばれる存在がおりません」
「聖女がいないのですか?」
「そうなんです。その為、王国で結界を張れるものなどおらず、常に外敵に怯えながら生活をしているのです。その上王国には病魔が流行り、それを癒せるような存在もおりません」
「そこで我々王宮は他国から聖女を引っ張ってこようと考えたのです。このままでは我が国トリスタンが滅んでしまうのも時間の問題。何が何でもこの問題を解決し、国を立て直そうと私達は必死でした」
「そうなのですか。それは大変そうですね」
「そこでセシリア様を当たらせて頂いたというわけです。大聖女としてのあなたの存在は隣国まで聞こえてくる程でした」
「報酬なら望む金額をお支払いします。どうか、我々の国の大聖女となっては頂けないでしょうか?」
国王と王妃は熱心に頼んできます。これは幸いでした。私は婚約者に婚約破棄された上に王国リンカーンを追われたのです。
その為私は働き口を探していました。この大聖女としての力があれば、どこで生活しても何不自由生活できます。
ですがどうせ生きるのでしたら人々の役に立つため生きてみたいと思っていたのです。それが大聖女として生を受けた使命であるとも思っているのです。
「ええ。構いません。私でよろしければ。丁度妹に王国を追われたところでした。今後何をすべきか、途方に暮れていたところです」
「本当ですか!? それは本当に!? 我が王宮で大聖女として働いてくれると!?」
国王はあまりのことに驚いている様子でした。
「ええ。本当です。私も途方に暮れていたところですから。願ったり叶ったりなんですよ」
「あなた! やったわねっ! これで私達の王国は救われるわ」
「ああっ! やったよ! これで王国が救われる。ううっ!」
国王は涙を流し始めました。よほど私が王宮で働くという事が嬉しかったに違いありません。
「報酬は出来る限りお支払いします。その他の環境面もセシリア様の思うがままに」
国王はそう言ってきます。
「無理しないでください。王国の経済状況もそんなに良くはないでしょうから。私もお金の為に働こうと思ったわけではありません」
「なんという素晴らしいお方だ。まさしく聖女だ」
「いえ! 彼女こそが大聖女よ! 大聖女セシリア様よっ!」
二人とも泣いて喜びました。少々大げさではないでしょうか?
こうして私は王国トリスタンに大聖女として働く事になったのです。
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