第9話後輩の様子に狼狽える
翌朝、目覚めた俺の視界にはいったのは隣で心地よさそうな寝息をたてている下着姿の緑祥寺の無防備な寝顔だった。
昨夜、酒に酔った彼女がスカートやブラウスを脱ぎだし、挙げ句の果てに夏美の胸を揉み始め──身体中を撫でられ、弄られ回された夏美に助けを求められたが──過ぎて無理だった。
就寝するまで夏美に恨み言をぶつぶつ言われ続けたが、あれは無理だろ、あれは。
年頃の妹の喘ぎ声をこの歳で聞くことになろうとは。
寝不足なのだ、俺は。
ううぅぅ、と低く唸る彼女に殺意が芽生えてしまった。
色々な意味で。
なんて格好で寝ていやがる、こいつは。
夏美といい、緑祥寺といい脱ぎ癖がある女子ばかりなのは何故なんだ。
リビングの扉が開き、金瀬が控えめな挨拶をした。
「おはようございます。寝不足みたいですね」
「おはよう。そうなんだよね......後輩が煩くして悪かったね」
「大変ですね......」
「......」
言葉を捻り出した感が伝わってきた彼女の言葉に返せなかった。
「ぅぅっ......あ、れぇ......痛ぁ、ここ......ってー、ええぇ~っ何で先輩がいるんですか!?」
寝ぼけた声で唸りながら頭を押さえる緑祥寺が叫び声をあげ、訊ねてきた。
「俺の自宅だからに決まってんだろ!」
「ひいぃっっ!殴らないでくださいっ、お願いしますぅっ!」
「わっ、悪い......いきなり怒鳴って。殴らないよ、手を上げたことなんてないだろ」
顔の前に腕をもっていき、殴られまいと構えた。
尋常ではない身体の震えに心配になる。
「おっ、おい......そんな震えることないだろ、殴らないって。なぁ、緑祥寺。悪かったよ......」
彼女の怯えように、どうしたらいいのか分からず、金瀬に助けを求めた。
「ああっと、どうしたら......」
「なんとかしますので、温まる飲み物などを用意してください」
「うっ、うん。」
俺は、金瀬と場所を入れ替わり、キッチンに駆け出した。
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