第318話 幼い頃の私

ああ、幼い頃の自分が立っている。

アパートの廊下の先に立ってこちらを見ている。


けれど私はわかっていた。

もうこの世にはいない子だ。この世のどこにも。

そう心の中で念じると、彼女は僅かに寂しげな顔をして消える。


二年前に死んだ私の娘は、幼い頃の私に瓜二つだった。

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