第217話 曼殊沙華の鳥居
「あの鳥居、近寄らん方がええと思う」
そう引き留めたのは先輩だった。
良い撮影スポットなのに何故、と問うと先輩は水面に映った赤い鳥居を指す。
「曼珠沙華で出来とるやろ」
――ああ、たしかに。
その時波紋に揺られて季節外れの曼珠沙華だけが消え、周りを彩る紅葉だけが水面に残った。
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