第160話 母と散策

ガラスのドアに映り込んだ自分の足が別人でぎょっとした。

更に驚いたのは見覚えがあったことだ。

死んだ母のものである。

「俺と一緒に歩いてたのか…」

母は足が悪く、晩年は歩くことすらままならなかった。


…ああ、これはやり辛い。


俺は飛び込む予定を取りやめ、散策のために歩き始めた。

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