第154話 耳を切り落とす

家の壁から耳が生えた。

見覚えのある形をしている。死んだ父の耳だろうか。

死後も俺の日常に入り込んでくるのかと憎い気持ちが滾り、手にした剃刀で切り落とす。


同時に俺の耳が床に落ちた。

…見覚えがあるわけだ。


しかし父と似ている事の方が嫌で、そのまま残った片方も落としてやった。

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