第46話 川を渉れない

暗い森を男に追いかけられ何時間経っただろう。

いい加減恐ろしさに煩わしさが勝ち、私は森を二分する川に躊躇なく飛び込んだ。


岸に上がり振り返ると幼い頃に生き別れた父が泣いていた。

『父は川を渉れない』と直感的に理解し、私はもう一つ理解する。


父が死んだという話は聞いていないのだ。

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