第5話 青空

 ふと気づくと、見なれない場所に立っていた。

 辺りを見回すと、彼がビルの屋上の端に立っている。フェンスも超えている場所だ。


「おい、危ないぞ」と声をかける。

 彼はフッとこちらを向くと微笑をうかべ

「貴方のためなら俺は何でもできますよ」と言った。

 ──嫌な予感が俺を襲う。


「…おまえ、」

 言いかけたとたん、強い風が吹く。

 その瞬間、彼の姿はその空間から溶けるようにふっとかき消えた。

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