第3話 秋の日に。



 夏も終わり、ようやく照り付ける日差しが弱くなってきた頃、鳥を見に行こうにも、仕事や用事で行けない日が続く。


 近頃ではSNSで情報を提供される方も多い。やれ、こんな鳥が現れただの、めったにやって来ない鳥が見られた――だのと報告される。

 初夏に南方から繁殖のために渡ってきた夏鳥たち。キビタキやらオオルリ、コルリ。ノゴマにノビタキ。クロツグミやマミジロ、ムシクイ系やサンコウチョウ――etc、etc。これらが山地などで繁殖を終え、再び南に帰っていく途中で、ちょっと立ち寄る都心部の公園で観察され、その情報が上がってくる。


 困ったものだ。

 だって、余計に行きたくなるじゃないか。


 しかし、そういう時に限って、仕事だったりするんだ。世の中、ままならない。

 いや、それはいいんだ。仕事なんだもの。

 諦めるよ。


 でも、これが不思議なもので、たまの休みの日、鳥見に出かけた時に限って、谷間のように鳥がいなかったりするんだ。


 なんでなの?


 

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