勇者パーティーを追放された脱力系の最強は実は神クラスの賢者で魔法により1からダンジョンを経営する~いつか勇者パーティーを壊滅させる為に~
MIZAWA
第1話 トリプル追放
俺はなんだかいつも何もかもが生きている事でさえ面倒くさかった。
いつも一人で魔法の修行をしていた。
冒険者ギルドでもいつも独りぼっちでクエストを受けたりしていた。
ここはジェイクス王国と呼ばれる場所であった。
いつも幼馴染のテテニカが俺を叩き起こしてくれた。
俺が寝泊まりしている宿屋にはテテニカがコック長として働いており、やる気のない俺に鞭を打ってくれた。
毎日毎日毎日修行を続けて行き、地味にスライムばかりを倒していた。
そんな時にジェイクス王国に勇者パーティーがやってきた。
勇者レーガは自分自身の事しか考えず、助けると見返りがあるのが当然だと思うガキ大将みたいな奴だった。
戦士ファダはのんびりな性格だがモンスターを見るとバーサーカーのように強くなる。モンスターに家族を殺されたそうだ。
神官ナナリリはツンデレ娘であり貴族出身でお金目的で勇者パーティーに入ったそうだ。
シーフゼーダは子供っぽくずる賢い。身長はガキだが20歳にはなっている。
そんな勇者パーティーに俺は勧誘された。
最初はどきどきしていたが、スライムばかりを倒している魔法を発動すると勇者達は驚いていた。
なぜなら一撃の魔法でスライムが数千体は消滅していたからだ。
それから魔王を討伐しに冒険に出たり、四天王と戦ったり、魔物の大群と命をかけて戦争したり。
色々な事があった。
もちろんいつも脱力しているため勇者達にはあきれられていた。
そしてその日は全ての始まりであるジェイクス王国に帰ってきた。
幼馴染の所に顔を出そうと思っていた。
しかし4名の勇者パーティーはにやにやしていた。
なぜだろうと思っていると。
「ご苦労様、君は勇者パーティーを追放だよ」
「は?」
「君は寝ぼけてこちらに攻撃してきたりした。あれは怖かったぞ」
勇者が笑いながら言う。しかも勇者は俺の頭をがっしりと掴んで。
「だ・か・ら、追放だって」
「意味が分からない、俺がいなかったら四天王だって防げなかった」
「お前、いやラファリアルがいなければ魔王を倒せていた」
「ぐ」
それは頭に残る嫌な記憶だ。
そう俺ことラファリアルはモンスターを殺していく過程で、疑問に思ってしまった。
冒険者だから勇者だからそういう理由だけでモンスターを攻撃する。
モンスターから攻めてきて命を守るために倒すのは分かる。
だが自分達は素材の為とかいろいろな理由をつけてモンスターを殺して来た。
そして魔王を倒せる所で俺は魔王を見逃した。
魔王の悔しそうな瞳は今も覚えている。
【人間などに】
吐き捨てて逃げて行った。
それは勇者パーティーだって見ている。
それからだったモンスターを討伐するのに抵抗が生まれたのは。
モンスターへ魔法の攻撃で致命傷を負わせても止めはささない、毎回勇者が止めをさす。
その度に俺は歯を食いしばった。
そして現実に戻る。
「お前がいるとモンスターを倒すのが面倒なんだよ」
「ああ、分かった。俺は俺で勝手にする」
「あ、そうなんだ。そういう態度なんだ」
勇者レーガは冷たい視線でこちらを見て、にやりと笑いながら冒険者ギルドへと入っていく。
その日の巨大な太陽はこちらに微笑みかけているようだ。
少しだけ呆然としていた。
仲間だと思っていた奴に追放されるのはあまりいい気持ちではないな。
ふ、とため息をつくと、自分も冒険者ギルドの中に入った。
何か仕事を見つけてテテニカにプレゼントを買うお金でも稼ぐかな。
冒険者ギルドに入ると、大勢の冒険者達がこちらをじろりと見てきた。
1人また1人と舌打ちする。
ギルドマスターはこちらを鋭い視線で睨みつけている。
勇者パーティーのメンバー達はげらげら笑っている。
受付嬢のカウンターに辿り着くと、受付嬢は申し訳なく告げる。
「ラファリアルさん、あなたは冒険者ギルドを追放という事になりました」
「一体、どういう事なんですか」
「さきほど勇者パーティーの方があなたにはモンスター擁護の傾向があると聞きました。モンスターとの繋がりがあるあなたは冒険者ギルドでは雇う事ができません、それと国王さまから要件があるそうです」
「はぁ、分かりました」
俺の頭の中は暗闇の中に突っ込んでいった。
なぜならこれからどうやって生きて行けばいいのだろうか、冒険者ギルドの仕事は何もモンスターを討伐する事だけが全てではない、薬草や鉱石、または畑仕事だって色々ある。
そういう仕事のおかげで食っていける。
モンスターはあまり倒したくないと思っているのだから。
何か亡霊に取りつかれた様にぶつぶつと独り言を呟きながら、辿り着いたのは巨大で武骨な城であった。
今の時間は城門が開かれており、衛兵に先程冒険者ギルドマスターから貰った招待状を渡すと。
兵士がすぐに反応してくれた。
俺は兵士に案内されるがごとく国王の玉座の前までやってきた。
国王は玉座にすわりながらこちらをじろりと眺めている。
俺は腰を下げて頭もさげている。
「では、わしが勇者から聞いた話、モンスターを殺すのではなく、助けてしまったと、それも魔王とか色々なモンスターをその為に勇者が面倒な仕事をしたと、誠か?」
心の中で違うと言えば、自分自身に嘘をつく事は分かっている。
それでも俺は自分に嘘を吐く事が出来なかった。
「俺はモンスターや魔族を殺したくない、きっと分かり合える術があると思うんだ。はっきり言って勇者の行動は間違っている。冒険者だって、いつまでもいつまでも殺し合う関係じゃない、だって、魔王はモンスターを制御している。その魔王と仲良く……」
「だまれい」
最後まで言えず、国王の顔が真っ赤になりながら。
いきなり椅子から立ち上がった。
こちらを睨みつけてありとあらゆる罵詈雑言を吐き出した。
俺は意味が分からず、いつも脱力して考えていない事が考えられるようになってきた。
今、俺はとんでもない事を言ったのだと。
魔王と仲良くなどと。
「お前はこの国においておけない、この国から追放させてもらおう」
「は、はい」
「二度とここに戻って来るな、クズが」
その後、俺は兵士達に強制連行された。
魔法で吹き飛ばしてもいいが、そんな事をしたら、余計騒ぎになる。
兵士達が運び込まれるとあっという間に城下町の外の城門から追い出された。
運がいいのは旅に必要な道具がアイテムボックスにしまってあるという事だ。
アイテムボックスとは異空間にしまっておける魔法の箱であり、その箱には無数にアイテムをしまっておける。
「は、はは、テテニカとも会えずか、俺はどこにいけばいいんだろうか、はやくぐーたらして脱力したいよ」
両肩を落としてゆっくりとした歩きでジェイクス王国から追放されたのであった。
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