第24話 ゆとりと俺

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じいちゃんのお庭 uwatwitter

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4月29日 14:00

わしのおうちを紹介するぞい。

これはわしの家にある納屋。秘密の部屋感があっていじゃろ?

秘伝のお酒があるんじゃ♡

ばあさんにも知られんようわしも日々頑張っておるぞい!

”家の納屋の写真”


コメント

●じっちゃん・・・心はいつまでも少年なんだな・・・

↳●あったりめえだあ!!

●ばあさーん!!この人持ってますよー!!!


5月1日 9:32

今日の猟の結果!

豊猟豊猟!

虎徹も頑張ったからなあ。ご褒美が欲しいって顔しとるのお。

ほほほほほ

”口が真っ赤な虎徹の写真”


コメント

●虎徹きゅん~!!

●真っ赤っかやなあ・・・・ギャップだ・・・

●めっちゃ笑顔www


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5月6日 14:38

これわしの孫!お昼寝してるんじゃが可愛かろう??

芝生が気持ちよさそうだったからこの後わしも寝たぞい。

いい天気じゃからみんなもお昼寝したかのお?

”芝生と犬と仁が寝てるところの写真(顔はいい感じに隠れてる)”


コメント

●いいなあ~のんびりって感じ

●孫さん服よれよれ・・・それでも霞まない良い体とは・・・

↳●諦めろ・・・。金で買えないものがこの世にはあるのだよ・・・

↳●くっさww鍛えろよwwwニートどもwww


5月6日 17:54

今日の作業はここまでじゃな。

風呂風呂~♪


コメント

●何の作業でしょうか??

↳●彼は変身の仕方を多分知らないぜ・・・

↳●返信は知らないだろうけど、変身はしそうだと思う

●風呂早!!


5月7日 13:47

虎徹~のご飯を食べてる様子じゃよ。わしはリンゴでもかじっとるとしようかの。

少し早いおやつの時間じゃの。

”りんごと虎徹がイノシシの肋骨を食べてる様子”


コメント

●リンゴめっちゃ赤くておいしそう!!

●虎徹キュン♡


5月8日 10:34

そうじゃった。来週は集落の外いったもんが帰ってくるからのお。準備をせにゃならんのじゃった。

皆もわしらの集落に遊びに来るか住まないかね?


コメント

●是非ニートの某を住まわせていただきたい・・・・

●こういうのどかなところに一回で良いから住んでみたいなあ

●住みたいです!!

↳●でも結構不便なのではと尻込みしてしまう・・・

●のんびりしたところで暮らしたい・・・金溜まったらぜってえいく。


5月8日 15:11

わしの孫仁って言うんじゃが、YouTubeやってるから見て欲しいんじゃ。

頑張ってるからのお。

”椅子の背もたれに寄り掛かりさかさまになった状態でこちらを見つめる仁の写真(顔は結構映ってる。)”

”ピースする仁の写真(顔さらしてももうモデルやったしいいじゃろくらいの感覚)”


コメント

●あるえ??バッチしお顔映っちゃってない??

↳●確かに・・・?今までの努力とは・・??

↳●しかもめちゃくちゃイケメソでは!?!?

↳●隠す意味なくない!?!?自慢するで!?私だったら!!

↳●自慢するわ・・・世界に・・・

●じっちゃんいいのか!?!?

●良い体と良い顔を隠していただなんて・・・人類への冒涜だぞ!!

●名前は!?!?

↳●確か仁だったはず・・・・

●あれ??なんか見たことがあるような・・・・??

↳●FF外から失礼します(*- -)・・・・見つけたでええええ!!

↳●なにを!?!?

●仁って言うのね!!りょーかい!!

●どゆこと!?

●あ!!なんか見たことあると思った!!

↳●何??

●いい体・・・ほちい・・・(´;ω;`)

●ん??彼ってもしかして・・・

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●「+プラス」って雑誌出てなかった・・・??


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「あえ??なんかすごい携帯にメッセージ届いてる・・・??」


朝ご飯を食べ、今日は何しよっかな~とパソコンの前に座り、スマホの画面をつけると、たくさんのメッセージが画面を覆いつくしていた。

足元にいる働かない獣たちは俺のパソコンが置いてある机の下がお気に入りらしい。


結構邪魔だけど。暑いけど・・・可愛いから・・・どかせない(;´・ω・)。


「何々・・・??」


スマホのメッセージを詳しく見てみる。

どうやらuwatwitterや、YouTubeからの通知らしい。

普段来るようなuwatwitterのメッセージがとにかくたくさん。確認したところ100はありそう。

YouTubeも登録者がとにかく増えている様子。

いわゆる通知が鳴りやまないという状況に陥っていた。


「な・・・どういう・・・??・・・じっちゃーん!!じっちゃーん!!」


仁はたちまち言いようのない興奮にさいなまれ、助けを求めた。じっちゃんはご飯食べた後はいつも縁側でお茶をすすっているはず!

どたばたとせわしない足取りで縁側に向かった。


横になり、呑気に尻を掻きながらあくびをするじっちゃん。

外はキラキラ。少し蒸し暑い空気が体力を消耗させる。


「ふあああ。どうしたんじゃあ?」


おいおい・・・どんだけ自由なんだよ・・・ってか尻掻くなし!!


「じじじっじじっちゃん!!俺のYouTube大変なことになってんぞ!!!」

「??」

「ななななんか・・・昨日から今日にかけてで10倍・・・??いや20倍・・??とにかく急に増えたんだよ!!!」

「何をそんなに慌ててるんじゃ。いいことじゃろが??」

「いやいや。こんな急に何かあるなんてぜってえ故障だって!!どどどどうしよう!!」


仁は自分のスマホ画面をじっちゃんに見せてそういった。


どこだ!!どこに相談すればいいんだ!?

じっちゃんはこんなだし。ばっちゃんはそもそも論だし!


あわわあわわと、スマートフォンを未知の存在のように扱う仁。

そんな仁を見つめていたじっちゃんは、「あ。そういえば」と己のスマホをとり出した。


「わしのスマホものお。なんかガヤガヤうるさいんじゃよ。仁よどうにかしてくれんかの??」


そこには俺の知らぬうちにいろいろと事が進みすぎているじっちゃんのuwatwitter。俺の写真や家の写真。田んぼや畑、虎徹たち。はたまた電柱に書かれた住所まで載っている。

これは・・・・


「じじじじじっちゃん!!絶対これ原因だって!!!!やべえよ!!住所特定されてヤバいこと起っちゃうぜ!!こんなにわかりやすく住所載ってたら!!」


やばいことがどんな風にやばいのかは知らないが、視聴者の人たちがさんざ俺に注意してくれていたことだからそれだけは注意していたのに!!

このままでは俺だけでなくじっちゃんや隣の奴らまで何らかの制裁が下るのではないかと仁は冷や汗を垂らす。


寝っ転がっていたじっちゃんは少し首を動かし、この良い天気にそぐわぬ顔をした仁から顔を背ける。

そして、ひくひくと肩の筋肉を動かしたと思ったらドッと笑い声が仁の耳に入ってきた。


「ぶひゃひゃひゃひゃ!!!それはないじゃろ!!ぶひゃっ!こんな田舎にこないわい!!そんなこと気にしとったんかい。ひひひ」


飛行機で降りて車で数時間。そんなところまでわざわざ嫌がらせにこようだなんて思わないだろう。ましてや、モデルなんてやったのにまだそんなこと言っているのか。


「それにのお。ひひひ!わしらの集落に手を出そうもんなら返り討ちになるじゃろうからのお。ぶひゃひゃっ。ていうかお前さんは東京の体力無い奴らに負けると思うとるんか??」

「・・・・・・・。」


仁は彼に自分が負ける姿が想像できるのかと言われ、東京に住んでいる人たちの姿を思い浮かべてみる。


白い肌(俺も結構白いけど)。薄い肩。体感のブレブレな肉体。そしてボロボロの服。


・・・・ふむ。


「負ける気はしねえな・・・・??」

「じゃろ??」


涙を浮かべるじっちゃんはまだ肩を震わせている。じっとっとした視線を送るが、彼は気に留めない。


ねっとのたみはとても恐ろしいことだと語っていた。それに倣って、俺も恐ろしいものだと心に決めていたのだ。

金目のものが取られる。ストーカーにあう。夜な夜な訪問される。などなど。彼らは俺にたくさんの事を教えてくれたのに。


「そんなもの怖がる奴わしの集落にはおらんわい。むしろ面白半分でそいつらをとっちめて畑仕事させるじゃろうなあ。」


・・・言われれば言われるほど何がそんなにみんな恐れていたのか分からなくなってくる・・・。


「確かに・・・怖がる理由がねえ・・・気がする・・・。」

「ほんとお前はかわいいのお。純粋すぎて目も当てられんわい。ふひゃはひゃは!!」


じゃあ今までの苦労は・・??編集は・・??


彼らの言う恐ろしいことが、俺にとっては怖いものでないことだった完璧に理解した今。


仁は今までの苦労と、恐怖の対象への天秤が釣り合っていなかったことに気づき、少しそのギャップに愕然とする。

登録者が増えたことへの興奮はもう、どこかへ行ってしまっていた。


無駄だとは思わない。しかし、損した気分になってしまい、うなだれる仁の視界に入るのはじっちゃんの生意気な顔と・・・


”仁君!!話があるのだけれど!!”


「あ、編集長からだ。」


今届いた編集長からのメッセージ。











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