第30話 再結成
ケインの自宅兼研究所だという古びたビルに集合して、"使徒ちゃん"イベントについての情報共有を中心に、解放したボードメニューや持ち帰った素材、EBCに吸い込まれたカード素材、遭遇したモンスターについて……などなど、ゾーンダルク関連の情報整理を行った。
「本当に、ゲームみたいねぇ」
「FPSっていうのか? そういうゲームらしいな」
「でも、モデルになったゲームはRPGじゃなかった? TLGなんとか? FPSとは違うんじゃないの?」
マイマイ、ケイン、キララが、テーブルに置かれた大きなピザをツマミにビールを飲んでいた。
少し遅めの昼食らしい。
やや離れたところで、レンとユキはフライドポテトをつまみながらジュースを飲んでいた。
集合した場所は、ケイン達が所有する研究施設だった。池袋にある旧病院跡地を買い取って、住宅兼研究所として利用しているそうだ。
気になっていた3人の関係だが、キララはケインの実妹、マイマイはケインのガールフレンドだった。
ケインはマイマイのことを妻だと紹介したのだが、マイマイは自分はガールフレンドだと言い張っていた。
3人はそれぞれが違った分野の研究者で、"鏡"が世界に現れる前までは、アメリカとシンガポールの研究施設にいたそうだ。
ケインは複合材料技術、キララは次世代の永久磁石、マイマイは動力システムを専門に研究していたが、やりたいことを思い付いて連絡を取り合い、日本に戻って共同研究をやっていたのだとか。
「宇宙船を造って金星に行くよぉ~」
缶ビールを片手にマイマイが言った。いつか、3人で宇宙船を飛ばして金星へ行くのだという。
「金星ですか?」
レンは、軽く正気を疑った。
「学生の時にね。そんな話をしたってこと。ああ……でも、月だったら行けたかもね」
キララが笑いながら次の缶を開けている。キララとマイマイは学校の同期生だったらしい。
「無人のロケットを造って月まで飛ばしたんだが、弾道ミサイル扱いされてな。あの時は酷い目にあったぜ」
日本だけでなく、他の国からも色々と脅しが入ったらしい。
「電信柱くらいの小さなロケットよぉ? それでも、ちゃんと月まで行ったんだからぁ~」
「片道切符だったけどね」
キララが上機嫌で缶ビールを呷る。
「えっと、その……皆さん、科学者なんですか?」
レンは、水でも飲むようにビール缶を呷っている3人を見た。
「そうねぇ~……科学者というか、技術者ぁ~?」
マイマイがふわふわと上体を揺らしながら言った。
「線引きは曖昧ね」
「どうして、ゾーンダルクに?」
もちろん、怪我か病気をしたからなのだろうが……。
「八号機の実験をしている時に、爆発しちゃったの。どかぁ~ん……って」
そう言って、キララがけらけらと笑い始めた。つられるように、マイマイも大笑いを始める。
「まあ、手やら足やら、内臓も少しばかり吹き飛んじまってよ。さすがに、もう駄目かと思ったんだが……」
3人揃って集中治療室で生命維持装置に繋がれ、医者からは生涯病床から起き上がることはできないだろうと通告されたそうだ。
「そんな状態でも、声だけは出せたからな。3人を同じ病室にしてもらってよ。どうせ先が無いなら、傷病渡界をやってステーションで治療しようって提案したのさ」
「生命維持装置に繋がれたまま寝ているくらいなら、一発逆転狙ってゾーンダルク行こうぜぇ~って、ケインが言ったの」
マイマイが折り畳んだピザを口いっぱいに頬張っている。
すでに、Lサイズのピザが3枚消え、ビールの空き缶が9本並んでいた。
「ユキさんは、ケインさん達とステーションで知り合ったんですか?」
レンは、正面に座っているユキを見た。
「入院していた病院が一緒でした。病床を移動する時、マイマイさんと同じエレベーターになって……その時、マイマイさんが看護婦さんに渡界の手続きを依頼しているのを聞いて、傷病特派をすることにしました」
ユキが答えた。
今日は見慣れた野戦服姿ではなく、どこの学校の制服なのか、白いブラウスに真っ赤な紐タイ、チェック柄のスカートという格好で来ていた。
剃り上げていた頭には頭髪が少し生え、長めの坊主頭になっている。睫毛の色や薄いブルーの瞳から、もしかしてとは思っていたが、ユキの頭髪は白に近い金色をしていた。
「母がロシア人です」
レンの考えを見透かしたかのようにユキが言った。
「そうなんですね」
「両親は、最初の
「それは……」
レンは、どう答えようか考えながら手元のウーロン茶へ視線を落とした。
「私、レンさんと同い年です」
「えっ!?」
思わず声を上げて、レンはユキの顔をまじまじと見た。
「あっ……でも昨日、十六歳になったから、私の方が年下ですね」
ユキの双眸に微かな笑みが浮かんでいた。ゾーンダルクに居た時より、ずいぶん雰囲気が和らいで見える。
「二十歳くらいだと思ってました」
レンは正直に言った。
「それ、年が近いのにおかしいです」
「えっ?」
いきなり言われて、レンは戸惑った。
「その言葉遣いです」
「言葉遣い?」
一瞬、何のことだか分からなかったが……。
「丁寧過ぎて気持ちが悪いです」
ユキが、不機嫌そうにレンを見る。
「……そう言われても」
「普段、友達にも、そんな言葉遣いをしていますか?」
「友達は……どうだったかな」
レンは首を傾げた。自分に友達がいたかどうかすら覚えていない。
「同い年に、ですとかおかしいでしょう?」
「そう……かな?」
そう言うユキだって、レンに対してやけに丁寧な言葉を使っているのだが……。
「そう言われました」
「誰に?」
「知り合いです」
ユキが、壁のディスプレイの方へ顔を背けた。
「でも、ユキ……も似たような言葉遣いでしょ?」
レンは、少しくだけた口調に変えることにした。
「先生が、ですとますしか教えてくれませんでした」
「ですとます?」
「生まれつき体が悪かったので、病院で日本語を習いました」
横顔を見せたままユキが言った。
「そうなんだ。ケインさん達と同じ病院なんだよね?」
考えながら話すと、なんだか妙な言葉遣いになる。
「十三の時に退院して家に戻って……十五の時にまた入院しました。家庭教師に病室に来て頂いて勉強をしましたけど……言葉は上手くなりませんでした」
「いや、十分上手だと思うよ? ちょっと丁寧なだけで」
「でも、おまえの言葉遣いは気持ちが悪いと言われました」
「……誰に?」
「知り合いです」
ユキが少し唇を尖らせている。
ふと気が付くと、レンとユキのやり取りを、酔っ払い3人組がニヤニヤしながら眺めていた。どうやら、ユキとのやり取りを酒の肴にされているらしい。
「な? レン君だって、まさかユキさんが十六歳だったなんて思わなかったよな?」
ケインが、サラミのフィルムを剥きながら言った。
ケインだって、かなり年上なのに、ユキのことを"さん"付けで呼んでいる。ゾーンダルクで会った時からそうだった。
「ユキちゃん、すっごい美形だから大人っぽく見えるのよねぇ~。ああ、いいなぁ~、すらっとして細っそいのに、ちゃんと胸があってさぁ~」
「なんか儚い……雪の妖精さんみたいよねぇ~。私も二十歳くらいかなって思ってた」
マイマイとキララが参戦してきた。
「外国人だと勘違いされて、よく英語で話しかけられます。でも、妖精と言われたのは初めてです」
そう言って、ユキがトマトジュースのストローを口に含んだ。
「ああ、そりゃそうだろ。俺だって知らなきゃ英語で話し掛けるぜ」
「オゥ、アイアム、マイマイデェース、ヨロシク、ユキチャーン」
「ワァオ、ザットイズ、エイゴジャナイ、デェース」
マイマイとキララが妙な掛け合いを始めた。
「アイキャントスピーク、イングリッシュ、デス」
抑揚のないカタカナ英語で答えながら、ユキがレンに向かって軽く片目をつむって見せる。
本当に、別人かと思うくらい、ユキの表情が和やかだった。こちらが、普段の姿なのだろう。
「……ミートゥ、デス」
レンも付き合うことにした。
「あはははは……レン君、ノリが悪いよっ!」
キララが、はしゃいだ笑い声をあげてテーブルを叩いた。顔には全く酔いが出ていないが、キララも相当に呑んでいる。
「初めて会った時は何考えているか分からねぇ顔して、思い詰めたような雰囲気だったけどな。ずいぶんと印象が変わったぜ」
サラミの脂が着いた手でレンの肩を叩きながら、ケインが缶ビールを呷る。
「そうそう、根暗なイケメンって感じで、ちょっと危ない雰囲気だったのに、なんだか安全そうなイケメンになったよ! でも、私的には、もうちょっと男臭い顔がいいかなぁ~。レン君って、表情が変わらないからマネキンみたいなのよねぇ~」
「そうねぇ、中学生? 高校生だっけ? あんな危ない目にあってるのに平気な顔してて、慌てないし……感情の起伏が無かったわ。おまけに、妙に言葉遣いが丁寧で、なんかロボットっぽいのよ。目の前にユキちゃんみたいな綺麗な子がいるのに、そわそわしないし……若いのに年寄り臭いっていうか、もう枯れちゃったのかもって思ってたわ」
マイマイとキララが言いたい放題である。
「似たようなことを叔母にも言われました。コミュニュケーションが苦手だったみたいです。母親がいなくなった後、少し
レンは苦笑しながら、ウーロン茶を口に含んだ。
「そういうとこよ? 若い子なら、今みたいなことを言われたら、ムッとして大きな声を出すとか、がぁ~と怒って全否定するとか、そんな感じじゃない? なぁ~んか、反応が年寄り臭いのよねぇ」
「オゥノゥ! とっても、枯れ枯れデェース! やっぱりロボットデェース!」
「ほら、いい加減にしろ。ああ……お袋さん、モンスターにやられちまったのか?」
ケインが、酔っ払い2人を押しのけて訊いてきた。
「いえ、僕が小学校へ行っている間にいなくなりました。新しい恋人ができて、僕が邪魔になったみたいです」
富士山の
「ああ、そんな感じか。親父さんは?」
「顔も名前も知りません」
「そうか……そりゃ、ちっと荒れても仕方ねぇな」
「ケイン、ちゃっちゃと映像の話をして」
「食べ過ぎて眠くなってきたぁ~」
退屈したらしい、キララとマイマイがビール缶を打ち鳴らして騒ぎだした。
「そうだったな。脱線しちまった」
ケインが、ピザの箱を押しのけて小さなリモコンを掘り出した。
「話は変わるが……これを見てくれ」
部屋の壁面に映像が浮かび上がった。ゾーンダルクでの戦闘を撮影した映像だった。
誰が、どうやって撮影しているのか……。
迷彩戦闘服姿の男達が5人、小銃を抱えて走っている様子を上空から
男達を追って、大型の黒いオオカミの群れが走っている。
不意に、男達の1人にカメラが寄り、緊張顔で指示をする様子が映し出された。
直後、草の間から忍び寄っていたオオカミが食いかかった。
咄嗟の反応で、男が地面に転がりながら小銃を撃つ。すかさず、別の男が援護射撃をしながら男を助け起こす。
音声もクリアに収録されていて、荒い息遣いやオオカミの唸り声、爪が土を掻く音まで聞こえる。
「この人達には、カメラが見えていませんよね?」
レンは、映像を見ながら訊いた。
「そうだな。これだけ寄って撮影しているのに、誰もカメラに視線を向けた奴はいねぇ。上から俯瞰した映像もあるし、襲っているオオカミ側からの映像も、ちょいちょい入る。まるで、誰かが何かの脚本に沿って映画を撮っているかのようだって、異探協の立花女史が言ってたぜ」
ケインが、しかめっ面をしたまま唸るように言った。
その時、銃弾を撃ち尽くした一人が、弾倉を入れ替える間も無く2頭のオオカミに喰いつかれ、地面に引きずり倒されてしまった。
「もう映像はいいでしょ。これ以上は気分が悪いわ」
キララがケインを睨んだ。キララはこの先まで見ているようだ。
「そうだな。もう十分だ」
ケインが画面を消した。
「今のが【デスカメラ】による記録映像だ。誰が何を基準にして、撮影の開始と終了を決めているのかは分からねぇ。どうやって撮影したのかも分からねぇ。分かっているのは、渡界者が死んだ時の戦闘シーンが何者かによって撮影され、D.Movieという記録媒体が拾得可能なアイテムとして現場に遺されるようになったってことだ」
「そのアイテムを拾えば、誰でも映像を閲覧できるんですか?」
ユキがケインに訊ねた。
「このくらいの小さな金属板だった。表面の赤いボタンに指を置くと閲覧希望の有無を問う文字が目の前に浮かぶ。後は、"希望する"を選ぶだけだ。特別な装置は無くていい。板から光が出ていないのに、立体映像が目の前に浮かぶ」
「死ぬところを他人に見られるというのは気分が悪いです」
ユキが不愉快そうに顔をしかめた。
「そうね、一応、閲覧資格に倫理的な条件は設けられるでしょうけど、あんなの形だけだし……守られるかどうかなんて分かんないもの」
キララが頷く。
「それから……異探協からのメッセージには載ってなかったが、ステーション内に、シーカーズギルドという新しい施設が出現したらしい」
「シーカー?」
レンは首を傾げた。
確か、ミサイルに内蔵されている目標捜索をする装置がシーカーという名称だったような?
「探索をする人という意味だぜ? まあ、探索士組合って意味だろうという話だ」
「ああ、そういう意味ですか」
レンは頷いた。
「そのシーカーズギルドで、【デスカメラ】とは別に【エンカウンターカメラ】というボードメニューを追加できるそうだ」
「エンカウンター……カメラ?」
「まあ、そのまんまだろ。モンスターと遭遇した時に、探索士視点の動画が撮影されるんじゃねぇか? 仕組みは分からねぇが」
「未確認なんですか?」
「解放に5ポイントかかるから、まだ誰も取得していないそうだ」
誰もが他のメニューの解放を優先していて、【エンカウンターカメラ】にポイントを使う余裕が無いのだ。
「他にもステーション内で手に入るボード用のメニューがあるかもしれない。店が増えたらしいからな。前は、探す余裕が無かったが……」
ケインが、キララとマイマイの方を見た。
「そこでぇ~、イッツ、トゥデイのメイントピック、デェ~ス」
テーブルに突っ伏しながらマイマイが呻き声をあげた。空き缶を掴んでいる手まで真っ赤に染まっている。
「レン君、もう一回、あっちに行きませんかぁ~?」
「政府から、ゾーンダルクの調査を依頼されたの。最初は、政府の調査チームに参加しろって話だったから断ったんだけど」
キララが、立ち上がって奥の業務用冷蔵庫へ向かった。
「あれこれ指示されたり、口を挟まれながらじゃつまんねぇから、正規の調査チームとは別に、俺達だけのプライベートチームを作らせろって言ったら、あっさりオッケーされちまった」
「そうは言っても、私達だけで行ったら死亡確定でしょ? だから、レン君とユキちゃんに護衛をお願いしようと思ったの。それが、本日のお題よっ!」
キララが、冷蔵室からカゴいっぱいの缶ビールを運んで来た。
「政府は、結構な人数の護衛を付けてくれると言っているんだが……俺達としては、レン君とユキさんが同行してくれた方が安心できる。まあ、プライベーター扱いだから、ろくな装備品は支給されねぇだろうが……」
ケインが新しいビールのプルタブを開けた。
特派部隊も、ゾーンダルクのモンスターには手を焼いているらしい。
「向こうに持ち込める武器で、一番強い物は何ですか?」
次の渡界に備えて、異探協に武器の調達をお願いしようと思っていたところだ。もう希望する武器リストは作ってある。
「砲弾や榴弾、爆薬なんかは、原因不明で不発になったり、いきなり炸裂したりするらしい。元々、ミサイルなんかは機能しなかったから……現状で、安定して使用できるのは、口径20ミリ以下の銃弾だけだと言ってたな。小型のグレネードランチャーや迫撃砲、無反動砲も、5発に4発は不発になるそうだ」
ケインの話を聞いてレンは眉をひそめた。
無反動砲とグレネードランチャーを要求するつもりだったのだ。いきなり、当てが外れてしまった。手榴弾は大丈夫だったから、グレネードランチャーは使えるはずなのだが……。不発が頻繁に起こるようでは、武器として期待できない。
「皆さん、どうしてゾーンダルクへ行くんですか? せっかく生きて帰ったのに」
ここへ来る前、叔母と香奈から散々ぶつけられた質問だった。
「こっち側がつまんないからよ!」
即答して、キララがケインの手から飲みかけのビールを取り上げた。それを横からマイマイが奪い取る。まだ飲むつもりらしい。
「あれダメ、これダメ、何でもかんでも許可が必要で、実験の許可を申請したら前例が無いから許可できませんとか言うし……新しいこと実験するのに、前例なんかあるわけないじゃない!」
「ちょっと月にクレーター増やしたくらいで、ぎゃーぎゃー煩いのよぉ~。色んな国の変なおじさんが尾行して来るしぃ~」
キララとマイマイが吠えている。
「……ってな感じだ。警護や監視の人間がうろうろしていて身動きが取れねぇんだ。向こうにいれば、寄って来るのはモンスターくらいだからな」
苦笑しつつ、ケインが別の缶ビールのタブを開けた。
「そういう訳で、レン君、一緒にゾーンダルクへ行こう! 試したい装備品があるのっ! 色々と役に立ちそうな物を作ったのよ!」
キララが、レンの前にジンジャーエールの缶を置いた。
「イエェ~イ! 冒険しようぜぇ~!」
後ろで、マイマイがはしゃいだ声を上げていた。
「でも、ゲートからゾーンダルクへ入ったら、バラバラに配置されますよね? 僕が同行する意味がありますか?」
同時にゲートに入っても、ランダムに別々の場所へ飛ばされてしまうはずだ。無事に合流できるだろうか?
「それなんだが、事前にボードメニューで【パーティ】を組んでおけば、ゲートに入ったメンバー全員がリーダーと同じ地点に降り立つらしい。昨夜……いや、今朝だな。異探協のデータベースが更新されてたぜ」
「情報提供者は、タガミさんだったわ。あの人も【パーティ】を解放したのね」
キララが笑みを浮かべた。
「イエェ~イ! パーティ組もうぜぇ~!」
マイマイが、はしゃいだ声を上げながら缶ビールと一緒に椅子から転がり落ちていった。ケインが慌てて抱き止めている。
「分かりました。そういうことなら……同行させて下さい」
レンは、冷えたジンジャーエールを手に取った。
(どうせ、すぐに渡界するつもりだったから丁度良い)
レン自身は"マーニャ"の所在について、まだ何の手がかりも掴んでいない。探す方策を思いつけないでいる。レンでは気付けない何かを、ケイン達が見つけてくれるかもしれない。
「やった! ありがとう、レン君っ! ユキちゃ~ん? レン君が来るなら、ユキちゃんも来てくれるって言ったよね? ねっ? ユキちゃんの装備も作ってあるんだからね?」
キララがユキに迫っている。どうやら、先にユキと交渉してあったらしい。
「同行します」
ユキが頷いた。
「やった! チーム結成ね!」
キララがケインを見る。
「決まりだな! 全員が【アイテムボックス】持ちだから、各自できる限りの準備を整えて……そうだな、7日後の正午にステーション集合ってのはどうだ? 俺の方で、協会に届けを済ませておく。まあ、プライベーター扱いだから、支給品は期待できねぇが……缶詰類と弾薬くらいは貰えるだろう」
「よろしくお願いします」
「了解です」
レンとユキが頷いた。
「異議なぁ~し!」
ケインに抱えられたまま、マイマイが声を張り上げた。
======
レンは、酔っ払い達に絡まれた!
レンは、ケイン達の調査チームに参加することにした!
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