第11話
「あぶっ!?今掠った!掠ったよ!」
槍を適当に空間に突き刺しながらカレンが叫ぶ。叫ぶ余裕があるのなら、まだまだ大丈夫そうとメリウスは判断――――したが、銃の一丁をカレンを狙っている腕に向けて一発。
神銃ロンギヌスは、魔法の発射速度、威力を強化してくれるもので、例え現在のメリウスがロンギヌスを通して一番威力の低い魔法を放とうと、その威力はティルファの兄であるルドルフクラスまで跳ね上がる。
「ありがとうメリウスちゃん!大好き!」
「そういう言葉は先生に言って!」
会話をしながらも、邪神の攻撃を躱していく二人。こうして躱せているのも、背後にいるメルジーナの尽力な援護。
「弾けなさい」
本物の弓の代わりに、魔法で作り上げた矢を放つ。神弓ロンギヌスは、全ての魔法を矢として放つ能力がある。矢という形に当てはめるせいか、範囲や威力は落ちるが、速度と貫通力に関しては一番。
さらに、途中で幾万にも分裂したり、大きくなったり小さくなったりとバリエーションも豊富。これを利用し、上手くメルジーナは二人のサポートをしていた。
そして、最後の一人、フィアンはと言うと、一人機会を伺っている。
四人の今回の鍵はフィアンである。作戦の内容としては、フィアンによる意識外からの強襲。
(頑張って、カレンちゃん、メリウスちゃん、メルジーナ様……!)
フィアンは、三人へ祈った。
ドバババババ!と、メリウスの高速射撃の音が鳴り響く。もちろん、狙いは全部適当にそこら辺に銃口を向けている。
しかし、邪神の周りはそこらじゅう空間の穴だらけ。神槍ロンギヌスによりランダムでねじ曲げられた空間により、ありえない方向から同時多数攻撃。
さらに、そこでメルジーナの援護射撃。一本の矢がすぐさま多数に分裂し、邪神へと降り掛かる。
怒涛の攻撃に身動きが取れない邪神。その隙に、カレンが槍を構えて突撃した。
狙いはもちろん心臓があると思われる胸。例えなくとも致命傷位は与えられると思い、突き刺す。
「甘い……っ!」
「……っ、くっ」
威圧で無理やり全ての攻撃を弾き飛ばし、カレンが持っていた槍も上へ吹き飛ばされる。幸い手は離していなかったため、吹き飛ぶということは無いが、完全ながら空き状態。
「しまっ――――!」
「まず一人」
邪神の手がカレンの体へ伸ばされる。邪神の意識が、カレン一人へと集中し、カレンの顔は驚愕と絶望の合わさった顔から――――
「と、思うでしょ?」
――――笑った。
「やっと、私から意識を外してくれた」
カレンへと伸ばされた腕が斬り落とされる。作戦の成功が成された瞬間である。
「さすがです学園長!」
「カレンちゃんもお疲れ様!後はティルファくん達に任せて急いで後退よ!」
「はい!」
邪神が突然の事態に惚けている間に、フィアンとカレンは急いで後ろに下がる。
残りの腕は二本。
「大役、だなエリアス」
「あぁ。これは中々大事な役目を任せされた」
メルジーナ様たちが、見事な連携で邪神の腕を斬り落とした。これで俺たちがダメだったら笑いもんだな。
しかし、カレンもメリウスもちゃんと強くなってるんだな。最近は面倒を見ていなかったから分からなかったが、成長しているようで嬉しい。
「ティルファ、アテナ様から連絡は?」
「何も来てない。なら、もうしばらく時間稼ぎだな」
アテナ様から邪神を強化しているという魔法陣を破壊したという連絡は来ていない。
さて、あの四人は全部ロンギヌスという人類最高の武器を使って腕一本と言ったところだが、俺たち勇者パーティーには神器二つ、聖剣一つに聖剣擬きが一つ。
武器スペックは多少向こうより劣るが……俺たちならば問題は無い。
「行ってこいエリアス。お前は何も考えずに奴の腕を斬ることだけを考えろ――――攻撃は、全て俺が受け流す」
「頼りにしてるぞティルファ」
「アリス、安心なさい。貴方は私が守ってあげるわ」
「じゃあ、ルーナちゃんは私が守ってあげますね」
最終ラウンドが始まろうとしていた。
邪神は、ぶっちゃけると焦っていた。所詮、自身は邪神の欠片から復活した身ではあるが邪神は邪神。アテナさえ出てこない限り、余裕でこの世界を支配できると、そう思っていた。
だが、蓋を開ければアテナの加護を貰った九人に押されているという現状。更にはアテナも出張ってきて完全に邪神を倒すという隙のない二段構え。
「こんな雑種共に――――!!」
端的に言うと、キレていた。
「なんだ、まだ力を隠していたのか。そんなことしてもしなくても死ぬことには変わりねぇのによ」
「巫山戯るな……!巫山戯るなよ雑種共が!!!」
そして、エリアスの言葉で遂に本気でキレた。
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新作ってどのタイミングで投げればいいか分かんないよね
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