第7話

 コンコン


「ん、来たか」


 その後、夜ご飯を食べ二人を迎える準備をしていたらノックをする音が聞こえたので、ドアへ向かう。


「いらっしゃい……と言っても、ここは宿屋だけどね」


「「お、おじゃましまーす」」


 と、どこか緊張しながら部屋へ入ってくる二人。なんかやけに部屋をキョロキョロと見渡しているが……。


「部屋の構造はあんまり変わらないのですね」


「そりゃそうだろ」


 劇的に変わるような部屋なんてスイートルームと呼ばれる貴族御用達の部屋くらいだからな。


「とりあえず、二人は向こうの方のベッドに座ってくれ。飲み物はいるか?」


「大丈夫です」


「メリウスは?」


「私も大丈夫です」


「分かった。なら早速話の方から始めるか」


 と、俺ももう一つの方のベッドへ腰かけ、空間魔法の応用で作っている空間から、一つの紙を取り出した。


「二人は、世界地図については頭の中に入っているか?」


「二つの大陸があるのは分かってますが、詳しい位置とかはまだ」


「私もです」


「なるほどな。まぁ世界は広いし、あまり世界地図は出回ってないから仕方ないか……」


 世界地図は貴重だし、別に世界地図とかなくてもあんまり困らないしな。



 この世界は、大きく分けて二つの大陸が東と西に別れており、その二つの大陸の間には、大境海と呼ばれる渡りきるのに船で一年以上かかる海がある。


 俺たちが住んでいるのは西側で、レジラント大陸という名前がついていて、大小様々な国が合計で100個以上も存在していたが、帝国の仕掛けている戦争によって、今やその数は70程まで減少している。


 レジラント大陸で有名な国と言えば、先程挙げた帝国――――『レグルス帝国』に、元々ディルクロッドが所属していた『アレシオン王国』、そして『フォレストキシニョフ』と言ったところか。


 それぞれ大陸の北、中央、ミナミに分布しているが、最近はレグルス帝国の侵攻が中央まで来ていて頭を悩ませているというのが今のレジラント大陸の現状である。


 そして、現在の俺たちはディルクロッドから南下し、現在位置はここである。


「もうこの近くまで来ていたんですね」


「と言っても、この街からフォレストキシニョフまで歩いたら三日はかかるけどね」


 いくらこの街がキシニョフから一番最寄りの街で、そこそこ栄えてはいるが、この街からキシニョフまでの馬車は通っておらず、自力でたどり着かないといけないのだ。


 どうしてこことキシニョフの馬車が無いのかは俺には分からないが、二人にとって慣れない道になるのは確かだろう。


 なので、空を飛んでいこうと思う。


「「え?」」


 そう言ったら、二人の目が点になった。


 空を、飛んでいこうと思う。




「せ、せせせせ先生!?」


「ほらほら、大丈夫だから落ち着いて」


「こ、これが落ち着いて居られますか!?私、空を飛ぶなんて初めてですのに!」


 翌日、勿論人目があるところで空を飛んだりなんてしたら注目を集めてしまうことになり、ガレオンの部下に邪魔されるかもしれないので、街が見えなくなってから、二人に飛行魔法をかけた。


 と言っても、全操縦は俺がするので落下の心配はない。二人程度だったらそんな変わらないしな。


 あと、テンパりまくって先生と呼んでるぞ。


「どうしてカレンちゃんはそんなに馴染んでいるですか!?」

 

「え?……いやぁ、私って慣れるのが早いってことが取り柄だし……意外と楽しい……」


 と、ふよふよ浮いているカレンがそう言う。最初はメリウスと同じくらいテンパっていたが、数十秒したら「あ、慣れた」と言って楽しみ始め、しまいにはなんとくつろぎ始めていた。


「ほら、そろそろ行くぞ。不安なら手でも繋いでおけ」


「先生……」


 と、メリウスが助けを求めるようにこちらに両手を突き出してきたので、俺はしばらくメリウスを見つめた後に、はぁとため息を吐いてその手を握った。


「ほら、これで大丈夫か?」


「ありがとうございます!先生!」


「お兄様だ」


 設定忘れてるから。


「いいなぁ、メリウスちゃん……お兄様お兄様!私も」


「……………………」


 もう何も言うまい。


 そして、何故か三人手を繋いでの空の旅が始まった。


 空を飛べば、歩いて三日のところも、一日で着くだろうな。


 待ってろよ、ガレオン。


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