第12話

 さて、残りはあの悪魔一体だけだな。とっとと終わらせて色々とおさらばした――――あ。


「ちょ! マリナ様! あいつサラッとラプラスボコボコにしてるので、封印の準備を!」


「………ハッ!」


 マリナ様によって吹き飛ばされていたラプラスに目を向けたら、あの勇者がボコボコにしていたので、慌ててマリナ様に声を掛けた。封印しないで殺っちゃうと、またあの悪魔は冥界に戻るだけなので、ちゃんと封印をしないといけない。


「ご、ごめんティルファくん!あんまりにも綺麗で見蕩れちゃってた!」


「そんな報告いまいいですから!急いで!」


「うん!」


 と、慌てて聖剣じゃない方の剣を抜いて、ラプラスに突貫するマリナ様。念の為に補助魔法を掛けて身体能力を強化させた。


 マリナ様が突撃してきたことに気づいた勇者が、ボコボコにしていたラプラスをマリナ様の方へ飛ばす。


 ………てかさ、あの悪魔全然抵抗してなくない? 抵抗するほどの体力がないのか、はたまた呼んだ術者が死んだから、心が折れたか。


 まぁ、別にどっちでもいいんだけどな、あの悪魔が動かなくなった理由って。


 だってさ、どうせ封印されるんだから考えても無駄でしょ?


「はぁぁぁぁ!!!」


 そして、マリナ様がラプラスの胸に、金色に輝く封印刀を胸に刺した。すると、ラプラスのオーラが急速に無くなっていき、今まで見えなかったラプラスの姿が見えてきた。


「……ふーん」


 体長は普通の人間のよりも大きい。でも、体ががっしりしてるかと言われたら別にそうでもなく、全体的にはとてもヒョロい。


「うわっ、気持ち悪い……」


 そして、顔はとても気持ち悪かった。マリナ様が慌てて封印刀から手を離してすぐに俺のところに戻ってくるくらいやばい。


 なんて言うんだろう……このゴブリンやオークの醜悪の顔とは違うのだが……なんか見ただけで拒否反応が起こるのだが。


 そんなラプラスだが、オーラが消えて元の姿が見えるようになると、黒い体がどんどん変化していき、黒色の体が灰色になった。


「封印、成功ですね」


「うん、だね」


 こうして、長かったようで短い騒動が終わりを告げたのであった。








 無事に悪魔を封印することが出来て、終わったあとに姉さんたちから「怪我してないかチェックね!」と言われ、身体中をぺたぺた触られたりとか色々とあった。


 まず、最初に封印されたラプラスなのだが、封印刀が抜かれるとまた動き出してしまうので、俺と姉さんが魔法を使って、メルジーナ様の屋敷の地下に厳重に封印することになった。


 人が入らないように十重くらいに強力な結界を掛けて、さらに侵入者が来たら自動で迎撃するような魔法をその場で作った。これで、二度とラプラスが復活することは無いだろう。


 そして、肝心の勇者のことだが………。


「今回はたまたまだ。もう二度と協力することはないと思え」


「そんなもん、こっちから願い下げだよクソ勇者が」


 一応、勇者も街を救った立役者なので、街を出る際の、イヤイヤながらも見送りに来たのだが、何故か俺たちの目の前で止まった。


「もう二度と来んなよ。お前の顔なんて見たくねぇからな」


「ハッ!次会うときは、お前らが俺の元を去ったことに後悔して、土下座で謝る時だ。それまで死ぬんじゃねぇぞ役立たずが」


「そんな未来なんて二度と来ねぇから会うことは無いな。とっとと去れよクズ勇者」


 と、悪魔を倒して二日ほど滞在してからこの街から離れていった。俺たちの後にパーティーに入ったレジーナさんが途中で振り返ってぺこりと頭を下げた。


 当たり前だけど、勇者よりしっかりしてるんだなぁと思った。あんな性格なのに。


 こうして、俺の心配事も終わり、これでようやくゆっくりとでき―――――


「ティルファ! さぁ結婚するわよ!」


「……………………へ?」


 どうやら、俺の心の平穏はまだまだ先のようだ。





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お久しぶりです。何日ぶりの更新でしょうか。


今日運営からSSR確定ガチャ券来てましたけど、皆さん何来ました?作者はウォッカでした。やったね

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