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拾い上げると、それはカードだった。

政宗の名前と顔写真、それに予備校の名前が書いてある。


「お母さん、政宗くんがカード落としたみたい。私届けてくる。」


「お母さんが行こうか?」


「ううん、まだそこに見えるから行ってくるね。」


小春は政宗を追いかけ歩き出したが、政宗の歩幅は大きくなかなか距離が縮まらない。走ることはできないが、早歩きならできる。一生懸命政宗との距離を縮めてから、小春は大声で呼んだ。


「政宗くーん!」


振り返った政宗は、驚いた顔で小春の元へ走ってきた。


「あー、気付いてもらえてよかったー。はー。」


若干息が切れている小春に、政宗の表情は険しくなった。


「小春、走ったらダメだろ。」


「走ってないよ、早歩きしただけだよ。」


「それでも心臓に負担がかかったらどうするんだ。」


政宗の言葉に、今度は小春の表情が険しくなる。

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