幼なじみは一途に絡まった赤い糸をほどく

あさの紅茶

プロローグ~小春~

1

セミが鳴き、本格的な夏がやってきた。


「政宗くん、好きです。」


決死の思いで告白した中三の夏。

真っ赤になりながら必死に訴える私に、一瞬びっくりした様子で、それでもありがとうと優しく笑った政宗くんは二十一歳。


全くもって本気に取ってもらえなかった。

私はまだ子供なんだと思いしらされた、夏。


それでも必死に取り繕って、いい子を演じた。


「そう、そうだよ。お兄ちゃんの友達としての好きだよ。だからこれからも遊んでね。」


って。

そうしたら政宗くんは、


「もちろん。俺も小春が好きだよ、受験頑張ってね。」


って。

一見甘そうで、とんでもなく苦い思い出だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る