第9話
紅愛と事を致したその日の夜、家に帰ると夕飯には赤飯が出てきた。紅愛がどこまで話したのか分からないが両親の話を聞く限り、将来の嫁と説明されているらしい。ちゃっかりと外堀を埋めていくのがヤンデレっぽいな。
両親への第一印象はそれはとても良かったようで絶対に幸せにしてあげろよと言われてしまった。
それから夜遅くまで両親(主に母さん)による質問攻めは続き、寝不足のまま学校へ向かうことになったのだが
「おはようございます蒼太くん。お迎えに来ました」
「……ん?」
玄関を開けると紅愛が待っていた。後ろにはリムジンが待機しており、運転席に座っていた老執事さんが出てきてリアドアを開けてくれた。
紅愛に手を引かれ、されるがままに車の中へと押し込まれる。
「2人とも〜いってらっしゃーい」
「はい。行ってきますお義母様」
「えっ?はっ?い、行っていきます」
パタンとドアが閉められ、老執事さんが運転席に座り直す。そして静かな音で車が発進すると紅愛が腕を組んできた。心做しか肌がいつもよりツヤツヤしていて色気がある。
「軽く紹介しておきましょう。執事の爺です。気軽に爺って呼んであげてください」
「えっ、でも……」
「蒼太様。私は爺で結構でございます」
「あっ、はい……分かりました」
「……蒼太くん一つ聞きたいことが」
「ん?何?」
「寝不足ですよね?隈が酷いです」
「そんなに?」
「はい。これでは授業に支障が出てしまいますね……爺、時間まで何処かで停まりなさい」
「かしこまりました」
紅愛に腕をグイッと引っ張られて思わず体勢を崩す。すると頭を押さえられ、ゆっくりと横に倒された。上を見上げれば豊かとまでは言わない双丘と穏やかな笑みを浮かべた紅愛の顔が映る。
これが俗に言う膝枕か…柔けぇ……
みるみるうちに睡魔に襲われ、意識を保つのが困難になる。トドメは紅愛の頭なでなでだった。髪を梳く心地よい感覚に俺は一瞬で眠りに落ちた。
「おやすみなさい蒼太くん」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「お嬢様、そろそろ到着致しますが起こさなくてよろしいのですか?」
「分かってるわ。あともう少ししたら起こすわよ」
「……蒼太様を愛しておられるのですね」
「当たり前よ。下心丸出しで接してくるそこら辺の男とは違うわ。ちゃんと私のことを見てくれてる素晴らしい殿方なのよ」
私の太ももを枕にして寝ている蒼太くんはまるで大きな赤ちゃんのようです。あっ……うふふ♪今度のプレイ内容が決まりました。きっと蒼太くんも甘えてくれること間違いなしです。
蒼太くんの頬を撫でると、んぅと声を漏らしてモゾモゾと動く。蒼太くんの髪が太ももに擦れて少しこそばゆいです。
安心しきって私に体を預けてる無防備な蒼太くんを見てるとこのまま学校を休んでずっと膝枕をして甘やかしてあげたい気分になります。しかしそれは出来ないので今度の休日に膝枕をして癒してあげましょう。
「……蒼太様も難儀ですね」
「うるさいわ。さてと……蒼太くん?そろそろ起きてくださ〜い。ふぅー」
「っ!?」
蒼太くんの耳に息を吹きかければビクッ!と体を強張らせて目を覚ました。ふふっ可愛いですね。
「……紅愛?あっ…そっか……」
「もうすぐ着くので名残惜しいですが起きてください」
「うん……ありがと紅愛。紅愛のおかげでぐっすり眠れたよ」
蒼太くんの微笑みにきゅん!と思わず胸がときめいてしまった。
それに蒼太くんにお礼を言われました。それだけで今日も頑張れます。
さて……メス猫共は覚悟しててくださいね。もう蒼太くんには指一本触れさせませんし、声一つ掛けさせません。先週いっぱい蒼太くんと話せて良かったですね。もうあんなに話せることもないでしょう。
爺がいつものように校門前に車を停める。しかし今日は登校時間ギリギリでの到着なのでいつもより周りにいる生徒は多かった……いい機会です。ここで蒼太くんと付き合ったことを皆さんに見せつけてあげましょう。
ドアを開けてくれた爺に労いの言葉を掛け、車から降りた蒼太くんと腕を組む。
良いですね。視線が集まってきましたよ。
「いってらっしゃいませお嬢様、蒼太様」
「えぇご苦労さま」
「えっと…ありがとうございました」
「いえいえ……それでは」
爺が車に乗って去っていく。生徒の皆さんは私たちの方を見てその場から一歩も動きません。そんなに衝撃でしたかね?
「紅愛……このまま行くの?」
「何当たり前のことを言っているんですか。授業やお手洗い以外の時間、私たちは半径1cm以上離れると死んじゃうんです。くっつくのは当たり前ですよ」
「そ、そうなのか?でも休み時間とか友達と話さなくていいの?」
「あの人たちは所詮私の家柄や容姿にしか興味無い人たちですから。生徒会長になるために利用してたに過ぎません。あちらが私を利用するならこちらも利用するまで。当然です」
「……そっか。じゃあくっついててもいいよ」
「はい」
許可が出たのでもっと密着します。周りから普段ならば耳障りだと感じる悲鳴が聞こえてきますがそんなの気になりませんでした。
だって蒼太くんがボソッと嬉しいことを言ってくれましたから。
「……それに今日はアレのせいで歩きづらいんでしょ?少し歩き方が変だ。無理しないでね」
……大変です。とても蒼太くんを襲いたくなりました。
歩きづらい事は隠してるつもりだったのですが蒼太くんは気づいちゃいました。どうしましょう……どう反応すれば良いのでしょう……
「……紅愛?大丈夫?今からでも休む?」
「い、いえ!大丈夫ですよ。気遣いありがとうございます」
あぁ……やっぱり蒼太くんは最高です♡
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
長らくお待たせしました。待っていてくださった読者の皆さん申し訳ございませんでした。やっと一段落ついたので少しずつ投稿していこうと思います。
後、ノクターンにR18シーンを投稿致しましたので18歳以上の方で興味のある方は見てみてください。
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