第677話「エクシア撃沈……衝動買いの恐怖」
「ねぇ?私からも聞いて良いかしら?」
「何ですか?」
「薔薇村に行かなくて良いの?そんな話だったじゃ無い?」
言われてびっくり……チャンティコが一番しっかりしていた!!
僕がスマホの時計を見ると既に10:00になっている。
拡張問題から、かなり長い時間倉庫の中に居たらしい。
「エクシアさん既に2時間以上もこの倉庫を開けっ放しでもう残り時間が半分くらいしか無いです。……続きは薔薇村についてからにしませんか?長老の家でも出来ますし!」
そう言った僕が見たものは、購入項目表示が5ページにもわたっている状態のエクシアだった。
「エ、エクシア!!ずるい。自分の物だけ!!」
「じ?自分のものだけじゃないよ?ギルドで使いそうな物だって!ホラ!!それにチャンティコがそういうと思って金貨5枚の方の箱!2個買ったよ!チョコレート30個入りでキセツゲンテイの箱の種類別だよ!両方から毎日2個食べても30日食べれるぞ!?」
「エ!……エクシア大好きーーー!」
この二人はやはり似たもの同士だ……なので折角だから意地悪しよう……
「来月違う箱でますよ?そのメーカー。だってそれ上に11月の限定新商品で書いてます」
僕がそう説明した後、今から数えても大凡30日後には『12という数字に置き換わって違うものが出る』と言ったらエクシアが嫌そうな顔で僕を見た。
しかしチャンティコには新しい楽しみができた様だ……『また30日後に12の方の箱も!ねぇエクシア!!』と強請っている……破産は間近だろう。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「くぅ!!散財だ!!まさか……宿で金貨325枚使い切ったなんて………くぅ……恐るべし異世界………」
計算せずカートに突っ込んだエクシアの金額は金貨にして343枚完全にオーバーしていた。
チャンティコのチョコレートは外せないので自分のものから削るしかないエクシアはギルド用に買っていた物を削る暴挙に出た。
結果秋の新作バッグやら新デザイン革のコートにワンピースなど有名メーカーの新作を買っていた。
ちなみに325枚の金貨なのでこの一瞬で325万が溶けた感じだ……
「エクシアさん……全財産とか言いませんよね?」
「まだ蓄えはあるよ………でも流石に325枚も………トホホホホ……異世界怖い!異世界怖い!!」
僕は必死に止めたのだ……まるで競馬に注ぎ込む誰かさんの様だ……誰とは言わないでおこう……そうすれば該当者は山の様にいる。
「宝箱から金貨を回収すればいいんですよ……300枚はあっという間でしょう?」
「アンタは箱が出る体質かも知れないが、アタイは普通の冒険者だよ?出ないのさ!トホホホホ………」
「ほう?宝箱が出やすい体質とな?………どう言うことかな?それに……その扉とその先はなんだね?」
扉を開けて目の目にいたのは『ソーラー侯爵とリーチウム伯爵』だった。
「ヒ……ヒロ男爵なんだそれは?入ってはいけないと思ったのだが、部屋で待たせてもらう話をしたんだ……宿の亭主が部屋を開けてすっ飛んで戻ってきたからそれからここで1刻以上待っていたんだが……チラッと見えた感じ……『何かの店舗』ではないのか?」
背後にはソウマにユイナそしてミク達が『あちゃー』って顔をしている。
「ソーラー侯爵!いいかい?コレはギルドの秘密だよ!言えるわけがないだろう?」
「ほう……エクシア……ならば325枚の金貨は儂が情報量で出してやらんでも無い話は『無し』になりそうだな?」
「ああ!コレかい?ヒロのスキルだよ!倉庫だ!」
「「「「「エクシアさん!!!」」」」」
サクッと裏切るエクシアは流石だな……としか思えない。
安定すぎる……
流石にリーチウムも同じように突っ込んでいるが、ソーラー侯爵は知れるとは思ってもいなかったようで焦っている。
「く……エクシアお前は……」
「スキル名は教えたよ?325枚金貨よろしくね?スキルの効果は見ての通り『倉庫』さ、そこから荷物を出し入れできるのさ中に入れておけば遠征時に役立つだろう?その準備をしてただけさ」
「ならば325枚の金貨とはなんだ?」
「それは言う必要がないだろう?中に入りたければ、ヒロと仲良くなる事だな?……なぁ?ヒロ?」
もはや中に入れると言ったような物だが、今まで入れなかった事を知っているメンバーは驚きが隠せない。
「今はもう制限時間が少ないので、無理です。万が一制限時間が来るとドアが消えてしまうので……」
そう言って僕は、中に入りたそうな全員を『倉庫』から遠ざける。
「なんと!?では制限時間付きのスキルという事ですか?……」
「リーチウム不思議ではないぞ?そもそもバフ系スキルは制限時間があるだろう?防御系を極めれば1刻は耐久値が上がる。コレもある意味特殊バフという事だろう。だがこんなスキルを我は今まで一度も見たことが無い。さては次元収納スキルの上位版だな……持つ人間は限られる筈だ」
一瞬で見抜くソーラー侯爵の洞察力は、お抱えの悪辣貴族とは全く違う。
「今はそれどころでは無いんです。すぐに薔薇村に行くんです。用事があって……」
「それを聞きに来たのだよ、だが1刻以上出て来ないから皆心配してたのだ!……という話だ」
部屋の右を見ると、すまなそうにしている、ザムド伯爵とウィンディア伯爵がいた。
「昨日の夜に両伯爵が血相を欠いて何やら探していたから、リーチウムが協力したのだ……『ドワーフの姫が消えた』という話では儂も流石に寝てられんからな!」
困ったことに、ドワーフのおてんば姫様脱走事件はソーラー侯爵まで知っていたようだ。
よく見ると、ソーラー侯爵も目の下にクマができている。
「取り敢えず扉は消しますね?じゃ無いと…………」
振り返ると扉を開けてこっちを見ている『ポチ』がいた………
「あんさん、コレなんなんや!?急にこんなもん拵えんで下さいよ!朝来た時は普通だったのに数時間でかわり過ぎでっしゃろ?って言うか急に大量発注きたから急いで来ましたわ!あんさん本気でっか?325枚も金貨で大量購入……もう……毎度ありや!もう間違えた言ったかて金貨は返さへんぞ?」
「「「「「「猫が喋ってる………」」」」」」
「あんさん方馬鹿かいな?ワイの名前は『ポチ』いいまんがな!『ネコ』ちゃいますわ……って猫だったわ!」
「「「「きゃーーー関西弁の猫めっちゃ可愛いやん!?」」」」
そう言って伯爵を押し退けてポチに群がる女子5名……
「生きとってよかったぁぁぁ……ワイ今モテ期!マジでモテ期!!到来や!」
「奥さんと子供に言いいますよ?」
「天国から地獄ーーー!あんさん最近ツッコミ分かってきましたな?ってかちゃいますわ!!買ってきまっせ?ホンマに金貨325枚分?」
「ああ!頼むよアタイだよ買ったの………」
「コレはコレはお美しいお客様!ワタクシはポチと言います。猫ですがポチです、よろしゅうお頼み申しますぅー。ああ、たしかに注文票見たら名前違いましたわ!今回のお買い物でお客はんのランクが上がりました。3ランク上がりましたので、次回から特急便が指定できますので、コレからもゴン太な注文よろしゅうお願いしますわ!ほな買い出し行ってきますよって、数日お待ちを!ひろさん命名の『ポチの宅急便』只今から行ってきますわ!ほなぁー!」
そう言って顔を引っ込めてしまうポチ……皆追っかけようとするが扉が開かない様だ……
「あれ?開かない………うーーん!!くは!!」
「力持ちのあーちゃんでも開かないの?ちょっと変わって!?くっは!!全然開く気配がない……鍵かけたの?ヒロさん?」
アーチが一生懸命開けようとして開かない扉を、今度はカナミが開けようと試みる。
だが開かないので、カナミは鍵をかけられたと思った様だ。
僕は鍵などかけた覚えがないので、ドアノブを握って開けるとすんなり開く……
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