第419話「集合したギルドメンバーと遠足気分のミオ」


 集合に間に合わなくなると困るので急いで鑑定をする……



称号 倉庫番☞隔離倉庫の管理人 ⇧ up new


冒険者ランク 銅級 グループ等級 1級


職業 学生☞冒険者⇧ up new


LV.46(+3)⇧up


HP.527/527(初期25)(+21)⇧up


MP.478/478(初期30) (+30)『MP上限+25・MP回復速度+5PT※盾装備効果』⇧up…………(以下略)



 ステータスをよく見るとレベルはもうすぐ50になりそうだった。


 余剰分の10レベルが上がったにも関わらず、更にまだ余剰分が残っていて3レベルもまだ上がる。



 レベルに関しての経験値とスキルや魔法経験値は別の様で、もっと沢山魔法やスキルを使う必要がある様だ。


 僕は宿の食堂へ降りると、もう既に集まっていたがアーチの姿が見えない……



「あーちゃん何度起こしても寝ちゃうんです!既に……三度寝です……」


 アーチはどうやら寝坊体質の様だ………


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「おはよう!皆ちゃんと来たね?じゃあ今日の予定だが、アルベイ!アンタが別働隊の総合リーダーだ。誰かが瀕死になったとかアホな事をしでかな無い様にな?」



 僕達は食事後に宿の亭主に弁当を貰ってギルドまで向かった。


 ちなみに僕達が一番最後でファイアフォックスには既に皆集まっていた……遅れた理由は『アーチが布団を離さなかった』ためだ……。



 しかしアーチはムードメーカーなので、ヘマをしても許せてしまう……それが彼女の人徳だろう。


「さぁ街営ギルドへ行くよ!今日はギルド総出の『ダンジョン掃討任務』を受けるからね!腕がなるね!!」



 僕達はダンジョンへ潜る前に『街営ギルド』へ行く……エクシアの『ダンジョン掃討任務』の受託の為だ。



 街営ギルドへ到着して早々に窓口に向かうと、周りの冒険者達からざわめきが起きる。



「プラチナギルドのファイアフォックスメンバー勢揃いだぜ?……何があるんだ?」



「な……何があるの?まさか……トレンチのダンジョンが王都と同じ様にスタンピード??」



「あのミミが……プラチナギルドのメンバーだなんて未だに信じられない……馬鹿にするんじゃ無かった……」



「お前なんかまだいい方だぞ!?俺なんか……絶対タバサに恨まれてるからな………プラチナギルドの薬師になるなんて思わなかった!」


「だからあの時に言ったじゃない!前に貰った傷薬馬鹿にするからよ!今あの修正付き傷薬は金貨で買取よ?」



「エクシアさんお待たせ!スゥが間違えてファイアフォックスに向かったから遅くなったわ!もう安定すぎてビックリしちゃった……」


 そう挨拶してきたのはモアだ。



「お待たせしました!エクシアさん……本当に!スゥちゃん……天然だよね……よく道を間違えるし。言った側から間違えるし……でもそこがスゥちゃんなんですよね!」



 モアの言葉に同意するのはユイだ。


 当然その言葉を聞いたエクシアは爆笑する……



「また間違えたのかい?王都でも色々間違えてたから心配して『街営ギルド』って言ったのに……相変わらずだねぇ?スゥは?」



 恥ずかしそうにスゥは……



「聞いてましたよ?昨日だって!でも……朝皆が集まるのがファイアフォックスだっ!!って言ってたから……折角だし……ゴニョゴニョ………」


「それで大間違いしたのよね?スゥちゃんは?『そっちちがーう!』って、ユイが追っかけてったもんね!」


「もう私もモアもビックリだよね?宿でてすぐに自分で『街営ギルドだよ!』って言ってファイアフォックスに歩いていくんだもん!」



 そんな言葉を掻き消すように、一際大きい声で挨拶してくるのは………満面の笑みが隠せない『ミオ』だ。



「おはよう御座います、エクシアさん!さぁ行きましょう!!私がダンジョンへ行っている間、オレンジはギルドの受付よろしくね!」



 ミオがそう言って、早速職員用の馬車待機場所に向かおうとする……しかし、オレンジと呼ばれた受付の同僚が、呆れ果てた顔でその腕を掴む……



「ちょっとミオ!気が逸っているのは分かるけど!『羊皮紙もペンも忘れて』一体貴女は何をするつもりなの?しっかりしてよ!もう!ピクニックじゃ無いの!っていうか……そのカゴ何よ?………って!大量のお弁当!?」



「そうだよミオ!アタイだってまだ『ダンジョン掃討任務』のギルド任務証を貰ってないよ?タダ働きは流石にごめんだよ?……ちなみに……その中には酒も入ってるんだろうね?」



 オレンジとエクシアに注意されて、急いで『ダンジョン掃討任務』受領証と昇級試験に必要な物を取りに行く。



「す!すいません!審査の準備はちゃんとしていたんですよ!ちょっとウッカリしてただけです!だってプラチナギルドですよ?審査が無駄だと思うんです!もともとが銀級の皆さんなんですから!」



「ちょっと!ミオさん!流石にその台詞はまずいわよ!!だってギルドマスターもサブマスターのデーガンさんも、凄く怒った顔で見てるよ?」



 見送りに来た二人はミオの馬鹿さ加減に呆れ果てて……


「イーザ!メイフィ!今すぐ用意しろ。この馬鹿娘に任せたら威厳ある銀級冒険者試験が台無しだ!」



「ええーーーー!ちょっとミオさん!!私にも仕事あるんですから、しっかりして下さいよ!」



 メイフィがミオにクレームを言うが、イーザは素直に『はい!直ぐに用意します!』と言って用意を始める。


 審査員の持ち物のメイフィに比べて、イーザは武器と盾に革製の鎧を身に付けて現れる。



「お……い……イーザ何処から引っ張り出してきたその装備!」



 ギルドマスターはイーザの格好を見て頭を抱える……



「ダンジョンですから、万が一の時にメイフィさんとミオさんを護らないとダメですよね?メインの検査員は二人もいれば、間に合います……」



「ギルドマスター……確かにイーザの言う事にも一理あります……一応戦闘特化の職員を護衛で付けますが……相手はコイツ等ですよ?鉱山に出向いて魔獣をその日で討滅する面子です……何か起こすに決まってます……」



 酷い言われようだが……だがその通りだ。


 僕達は折角なので『迷宮の試練』についても、同時進行するつもりだ……ギルド職員には詳細は分からないし、ダンジョンの中は『何が起きても』不思議では無い。


 ミオは受付嬢をこれ以上増やしたく無いらしく、ギルマスとサブマスに異議を申しあげているが、ミオは最近ポンコツが過ぎて二人に目をつけられた様だ。


 しかし唐突にその話は打ち切られる。



「エクシア様!エクシア様!ギルドにいらっしゃいますか?もう馬車を用意してから、随分経つのですが出発はまだでしょうか?」



 この時間は乗合馬車も多く、出発する場所を占拠している状況のせいで、御者の一人が聞きにきた。



「テカ!もういいかい?アタイ達はさっさと向かいたいんだけどね?御者にもせっつかれ始めたじゃ無いか!」



 エクシアの一言でようやく、僕達はトレンチのダンジョンに向かう事になった。



 前日に大所帯で移動する予定だったエクシアは、あらかじめ御者付きの馬車を用意していた様だ。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 トレンチのダンジョン前に着くと、見慣れた顔の青年が一人待っていた。



「ヒロ男爵殿!このイスクーバを盾役としてお使いください!恩に報いられる様に、必ずや役に立って見せましょう!!」



 ルムネー家の長男として養子に迎えられたイスクーバだ……

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