離婚しない理由

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。結婚は人生の墓場という言葉がございます。ならば、最終回で結婚するマンガは、最低最悪のバッドエンドなのでは?」

「そんなことないだろ」

「その事実を検証するべく、我々調査隊はアマゾンの奥地へと旅立った」

「いや、旅立ってないから」

「そうですね。ブラックフライデーは先週で終わりましたし」

「それは別のアマゾンだな」

「ところで、結婚生活が精神の限界レベルに苦痛だったら、わたくしは離婚しても良いと思うのですが、ネットサーフィン中に『夫に浮気されても妻が離婚しない5つの理由』という記事を読みました」

「どんな内容だったんだ?」

「①浮気相手とは遊びに過ぎなかったから

 ②夫がいないと生活に支障が出るから

 ③浮気を許せるほど夫が魅力的だから

 ④夫を愛していて別れたくないから

 ⑤お前に自由なぞ与えてやらん。地獄の底まで付きまとってくれようぞ」

「待て、⑤だけ様子がおかしいぞ」

「すみません、実際は『⑤夫を自由にしたくないから』です」

「それなら割と普通だな」

「つい自分の感情が混ざりました。それはそうと、④と⑤は一見似ていますが、実際の感情は真逆だと思うのです」

「つまり?」

「④は好きだから許すってことですよね。一方⑤は、好きだから許さないということです」

「なるほど。どっちも好きで別れないけど、実際の感情のベクトルは真逆ってわけだな」

「わたくし、④は何となく理解できますが、この年齢になって⑤を理解できるようになりました。いいですよね、怨念という名の巨大感情」

「いい……かなぁ……」

「そういう感情を原稿に思い切りぶつけたら、電撃の選評で珍しく高評価を貰ったので、これから得意分野にしていきたい所存です」

「お前の持ち味は、平和なほのぼの路線じゃないのか?」

「ならば、ほのぼの怨念平和コメディで」

「謎すぎる」

「以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る