マーライオン

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。浦島殿は、世界3大がっかり観光地をご存知でしょうか?」

「よせ、マーライオンの悪口はやめるんだ!」

「そうです、マーライオンもランクインしております。ですがそれは、とんだ濡れ衣にございます」

「濡れ衣……だと?」

「まず、歴史から申し上げますと、マーライオンが誕生したのは1972年です」

「今年で49歳か。中年だな」

「ナイスミドルと呼んでください。そんな彼ですが、昔はポンプの不良で水が出ず、しかも近くに橋が開通したので、せっかく現地へ行っても姿がちゃんと見えませんでした。世界3大がっかりはその頃のあだ名です」

「今は違うのか?」

「はい。2002年に現在のマーライオン公園に移設され、正面から姿が見えるように桟橋も整備されました。もちろん口のポンプも復活しており、マーライオンシャワーが拝めます」

「シャワーは浴びられるのか?」

「海に放水しているので、浴びることはできません。なお別個体ですが、セントーサ島には巨大なマーライオンタワーがあり、夜になると目からレーザービームを発しておりました」

「目からビーム……だと?」

「世界3大がっかりなんて呼ぶから、怒ったんですよ」

「しかし、その光景ちょっと見てみたいな」

「残念ながらビームの演出は数年で終了し、その後タワー自体が取り壊されました」

「草」

「ともかく、わたくしがシンガポールに住んでおりました際、日本からの旅行者を何人も案内しましたが、がっかりしたと言う人はおりませんでしたよ。マーライオンは人気者」

「なるほど、濡れ衣だってよくわかったよ」

「世界3大がっかりの他の2つは、ベルギーの小便小僧と、デンマークの人魚姫の像です。本当にがっかりなのか、それとも実物は素敵なのか、いつかこの目で見てみたいですね。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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