スッポン

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀に姿を変えられた金髪ツインテールの美少女よ。まだジュース買ってきてないの? このカメ!」

「カメはお前だ」

「とまあこのように、日本ではカメは蔑称ですが、中国では大変縁起の良い動物とされております。なにしろ四神獣の一角ですからなあ」

「ああ、玄武だっけ? 北を守護するっていう……」

「そうとも、北は俺の守備範囲だ! ばっちこい!」

「そういう守備じゃないだろ」

「北の守りはまあさておき、カメは長寿な生き物ですし、食べれば滋養強壮の効果もあります。日本では珍味の扱いですが、中国では一般的に食されており、食用のスッポンをウォルマートでも気軽に購入できますぞ」

「肉を買うのか?」

「否。生きたスッポンを買うのです」

「でも、スッポンって凶暴なんだろ? 小さいのにアゴの力がすごくて、一度どこかに噛みついたら、雷が鳴っても離れないって聞くぞ」

「一途ですねぇ。何があっても離れないなんて、夫婦のカガミじゃないですか」

「違うそうじゃない」

「それに比べてレターパック……」

「その話はいいから先へ進んでくれ」

「それでは悩める浦島殿に、いいことを教えましょう。スッポンを捌く時は、甲羅を裏向きにして置いてください。するとスッポンは、手足が地面に届かないので、手の代わりに首を地面につけて起き上がろうとします」

「へえー」

「首を伸ばしきったところを! スパっと切り落とすのです!」

「なるほど。一番の凶器であるアゴを、最初に無効化するわけか」

「ひどいわ! 私にこんな残酷な説明をさせるなんて、浦島殿は鬼よ!」

「聞いてないのに率先して言ったんだろうが!」

「自分が知っていることを言わずにはいられない、講師の本能でございます」

「まあ生きたスッポンを俺が捌くことなんてないから、安心(?)してくれ」

「はい、浦島殿はカメを助ける男ですからね。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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