財布忘れ

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。今日は先日あった実話をお届けします。いえ、この連載そのものが、ほとんど筆者の実話なのですが」

「また何か失敗したのか?」

「失礼ね、失敗と決まったわけじゃないでしょ! いい話かもしれないじゃない!」

「わかった、言ってみろ」

「先日、財布を忘れて会社へ行ってしまいました。携帯を忘れるのは日常茶飯事ですし、誰からも連絡がないので困りませんが、財布を忘れたのは今回が初めてでした」

「昼食抜きのピンチだな。でも、同僚に借りたらいいんじゃないのか?」

「無理です。みんな在宅勤務で、その日は1人だけでしたから。ですが、わたくしにはpaypayがあります(ニヤリ)」

「なるほど、便利な世の中だ」

「ところが、paypayが使えるレストランで食事をして、いざ会計しようとしたら店のご主人がこう言うのです。『今日paypayの機械が壊れちゃってて……現金でお願いします!』」

「何故その日に限って」

「わたくし、ドッキリではないかと疑い、周囲にカメラがないか確認しました。ありませんでした」

「電子マネーやクレジットカードは?」

「すべて財布の中です。このままでは食い逃げですが、念のためカバンの中をひっくり返したら、ヨレヨレになったGoToイートお食事券が出てきました」

「有効期限は?」

「2021年3月末」

「絶望の瞬間」

「ですが、ご主人が『使えますよ!』と言うではありませんか」

「じゃあ、その券で無事に支払えたわけか」

「お釣りは出ませんでしたけどね。わたくし、ご主人に慈悲をかけられたのかと思いましたが、気になって後から公式サイトを確認したら、利用期間が9月末まで延長されていたようです。ありがとう、GoToイートお食事券!」

「結局、ただの失敗談だったな」

「以上、亀と浦島の恋愛講座でした。皆様も財布忘れとpaypay読み取り機の故障には気を付けてください」

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