キスマーク

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。浦島殿は、彼女と外泊デートをした翌日、キスマークが消えなくて困った経験はありませんか?」

「彼女いません定期」

「そうでしたね、そうでしたねェ!(嘲笑)」

「生き生きしてんなぁ」

「ところで、キスマークとは、相手の肌を強く吸うことによってできる一種の内出血ですが……」

「ん? キスマークっていうと、口紅でつくもんだろ?」

「初心者乙」

「違う、違うぞ! あえて無粋な説明をするが、これは恋愛講座で俺は受講生だから、こういう基本的な質問をするのが役目なんだ!」

「まあ確かに、軽く吸っただけではできないですけどね。もちろん中にはうっかりもありましょうが、どちらかというと、故意につけているケースも多いわけで」

「故意なら、相手に困るって伝えて、やめてもらえばいいじゃないか」

「意図的なキスマークの付与はご遠慮ください、と?」

「いや、そんな事務的な口調じゃなくていいけどさ」

「無駄ですよ。故意につけている場合は、吸うこと自体が目的ではなく、相手に痕を残すことが目的なのですから」

「わざわざ何故そんなことを」

「独占欲ではないですか? あえて目立つ場所につけたら、他人への牽制にもなりますからね」

「なんとも困った心理だな」

「いや、S感があってとても良い(真顔)」

「お前最近、キャラが大幅にブレてるぞ」

「すみません……! 筆者に強いられているのです……! ですが、皆が皆そういうドMとは限りませんし、相手が困るような場所にわざと痕をつけるのはやめておきたいですね」

「わかったよ」

「それと、つける側になりたい場合、初心者は自分の腕で練習するといいですよ」

「だから俺は初心者じゃない! 筆者に強いられているんだ!」

「やれやれ、お互いに苦労しますね……。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る