2021年7月の講義
恋愛ディス
「どうも、浦島太郎です」
「わたくしは講師の亀でございます。好きな言葉は『結婚は人生の墓場』です」
「前から気になってたんだが、お前は恋愛や結婚のいい部分を広めたいのか? それとも悪い部分を広めたいのか?」
「おっと、いい質問だね浦島くん」
「なぜ急に博士キャラに」
「わたくし、その問題には大変複雑な感情を持っておりまして、詳しく説明すると3分かかってしまいますがよろしいですか?」
「短いな、言ってみろ」
「まずわたくしは、自分自身が失敗した身である以上、恋愛や結婚を良いものだと認めるわけにはいかんのですよ。すっぱいブドウ的な意味で」
「すっぱいブドウ……欲しいのに手に入らなかった物を無価値だと決めつける、心の防衛機能だな」
「ええ。ですので、隙あらば恋愛をディスりたい気持ちです。暴言を吐くたびに黒い感情が満たされます……ふふ……ふふふ」
「なのに、どうして恋愛講座を?」
「恋愛を否定したいという感情は、あくまで個人的な主観によるもの。客観的には、恋愛も交際も結婚も出産も、すべて素晴らしいものだと認識しております」
「主観と客観が真逆、ってことか?」
「そうですね。自分自身は主観の支配に縛られておりますが、他人に対しては客観が働くので、皆様の恋愛は全力で応援したいと思っておりますよ」
「自分が失敗したから周囲も失敗しろ! ……とは思わないのか?」
「わたくし、性格悪い自覚はありますが、それはまったく思いませんね」
「そうか」
「今、自覚って書こうとしたら、痔核って変換されました」
「前に痔の話あったからな……残ってたんだな……」
「痔核はともかく、こんな悲しい場所には、誰も来ない方がよろしいでしょう。そのための恋愛講座でございます」
「そっか。まあ、無理してるわけじゃないなら、俺はこれ以上何も言わないけどさ」
「はい。わたくしの失敗談を存分に役立てて素敵な恋愛をしてください。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」
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