脱ハンコ
「どうも、浦島太郎です」
「わたくしは講師の亀でございます。浦島殿、この講座を受講して彼女はできましたか? 婚姻届を出す見込みは?」
「いや、この講座ぶっちゃけネタだろ? 本気で俺を指導する気ないだろ?」
「少しはありますよ」
「少しかよ」
「ところで、婚姻届にはハンコが必要ですが、最近の脱ハンコの流れを受けて今後は廃止される見込みでございます」
「え? それだと勝手に提出できるんじゃ……」
「はい。ただし前にも申し上げた通り、婚姻届のハンコは実印でなくても構わないので、その辺で買った安物のハンコを勝手に押すことは以前から可能でした。そういう意味では、書類にハンコを求めるのは、あまり意味のない制度だったのかもしれませんな。そして、オンライン化も進められております。実現すればワンクリックで結婚できる時代の到来ですぞ!」
「婚姻届をポチるわけか。胸熱」
「非常に便利ですが、重みが足りないような気もしますな。わたくしとしては、婚姻届提出のために市役所へ行くドキドキ感は、これから結婚なさるお2人には是非とも経験していただきたいのですが……老人の考えでしょうか?」
「でも、オンライン化が実現しても、紙での提出はできるんじゃないか? 結婚したい全員がネットを使えるわけでもないだろうし」
「確かに。あ、ちなみに離婚届もハンコが廃止されますぞ。永遠の愛を誓い合った2人もワンクリックで赤の他人。大変便利でよろしいですね」
「お前って、結婚の話をした後は必ず離婚の話をするよな……」
「そういう講座ですので諦めてくだされ。最近、そろそろ初級編の看板は外そうかなと考えております。詐欺なので」
「詐欺の自覚あったのか」
「とにかく、婚姻届をオンライン提出できる時代になっても、夫婦として添い遂げる覚悟や緊張感は決して失わないようにしたいですな。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます