おおかみさまとお酒レビュー配信してみた

色 しおり

プロローグ

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 昔から誰かに好かれたかった。小学生の時は、足の速いクラスの人気者に。中学生、高校生の時は、異性にモテモテな先輩に。


 そして大学生になった今は登録者数ミリオン超えの有名動画配信者になりたかった。でも現実はそんなに甘くない。


 両親の影響もあり、大の酒好きのためお酒レビュー動画を投稿し始めた。他にもゲームプレイ配信に歌配信など手当たり次第にやって見たのだが……。動画は頻繫に投稿しているにも関わらず視聴数は伸び悩んでおり、登録者も300人程度の群小ぐんしょう配信者だ。


 思い切って壮大な企画をしたいと考えるが、悲しいかな学生身分では軍資金も心許ない。


 苦肉の策で思いついた企画が『廃神社でお酒レビューをする動画』であった。


 元々、廃れてしまった廃墟や参拝客がいなくなった廃神社を散策する事が趣味だったので自然な発想だったかもしれない。廃墟は管理されていく事が多く、入って撮影することはまず無理だろう。


 廃神社ならホラー要素とミステリアスな雰囲気があるし、警備されている事も少ない。ついでに登録者数が伸びるよう願掛けもしていこう。正に一石二鳥の名案だ、私ってもしかして天才なのでは?


そんながばがばな計画を立案し、るんるんで山に踏みいったのだが……。


「――それでなれは何故、わえの神域に立ち入ったのだ」


 その結果、色上しきかみむらさきは白銀の毛並みが秋風に撫でられて揺蕩たゆたう、高やかな狼と出逢った。

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