第10話 数奇な邂逅


 アリッサは大型パイプレンチ魔術鈍器を下段で構えながら、割り込んで来た男を睨みつける。ここにきてようやく、目的の男であるルイス・ネセラウスと接触を果たした。


 怒りはない。ただ、胸を締め付けるような自身への後悔ばかりが頭の中を逡巡する。


 そんなアリッサとは対照的に、ルイスはアリッサの方を見るなり、苦戦しているパステルへと駆け寄っていた。


 「大丈夫か?」

 「ルイス様。申し訳ありません……」

 「気にするな。あれは厄災そのものだ」

 「ルイス様……解放の許可を……」


 ルイスは無言で頷き、パステルの額に、自身の額を重ね合わせる。すると、その瞬間にまばゆい光が二人の間で迸り、魔力の波がアリッサの頬を撫でた。

 弾けるようなスパーク音が幾度となく鳴り響き、空が霧散して消えていたかと思うと、いつの間にかルイスとパステルは二人で立ち上がり、こちらに対して構えていた。それはさながら、魔王に立ち向かう勇者に似ていたのかもしれない……


 「やっぱり、能力の制限をしてたんだ……。早めにやっとけばよかったかな……」

 「失策だったな、化け物……。これで“2対1”だ」

 「そうとも限らねぇんじゃねぇか?」


 アリッサの背後で誰かの声がした。アリッサは振り返らずともそこに誰がいるのか、声ですぐに理解した。その人物はアリッサのアリッサの横に並ぶように相手と同じように立ちふさがる。


 そこにいたのは癖のあるこげ茶色の短髪に、相手を睨むように威圧的な鋭い鸚緑の瞳をもつ青年。半年前までの腹の出た体型とは程遠いほどに肉を削ぎ落し、見違えるような美青年になったそれは、疑いようもなくパラドイン・オータムであった。

 しかし、いつものようなラフな格好ではなく、今はブリューナス王国に軍備されている軽装魔導鎧を身に着けていることから、決着をつけに来たことが伺えた。


 ルイスはパラドを見るなり、明らかに態度を急変させ、ライフル銃を強く握りしめているように見えた。対し、パラドは鷹の羽をあしらった大きなステッキ型の魔術杖を震えながら握っている。

 アリッサがパラドの震えるに触れ、横顔をのぞき込むと、汗がにじみ出ており、明らかに怯えているように見えた。しかし、握っているうちに落ち着いたのか、自然と手の震えは止まっていった。


 「久しぶりだな、ルイス……」

 「そうか……やはりお前なのか……最後にはお前が立ちふさがるのか、パラド……」


 二人は互いに目を合わせることはなく、明らかな険悪さを露呈させる。


 「アリッサ……悪いが、コイツは譲ってもらえるか?」

 「先輩が言うなら仕方ないですね。その代わり、あとで何か奢ってくださいよ————————ッ!!」


 最初に動いたのはアリッサだった。石畳を蹴り飛ばし、爆発的な加速をすると同時に、ルイスの横に立っていたパステルに鈍器を振り下ろす。しかし、パステルもそれに反応し、当然のことながら武器で受け止める。

 二人はもつれるようにして砦から落下していき、再び白銀の大地が見える森林へと消えていった。



 残っているルイスとパラドはそれを微動だにしないまま見送り、静かに吐息を漏らす。外気温が低いため、吐く息は当然のことながら白い。そして、立ち込めるような黒煙のせいもあり、二人の姿はまるで軌跡かのように揺らめいていた。


 「二年ぶりだな。所属がエルドライヒになってから、随分と躍進したみてぇじゃねぇか」

 「そういうお前は、随分と腑抜けていたみたいだな」

 「あぁ、半年前までは……な……」

 「変わったのは、やはり、あの女か……」

 「まぁ、色々だ……」

 「数奇なものだな。互いに————————」


 二人の間に風が吹き抜ける。それに煽られ、炎が舞い上がり、焦がすような空気が充満し始める。


 「どうした? 構えねぇのか、ルイス」

 「そちらこそ、以前のような覇気がないように見える。何をそんなに怯えている……」

 「怯えてはいない……ただ、知るのが、怖いだけだ……」

 「知る必要はない。ここで、決着をつけるのだからな」


 直後————————


 先ほどまでパラド立っていた位置に巨大な金属杭が降り注ぎ、その足場もろともに崩落させていた。しかし、それはパラドにあたることはなく、パラドは瞬間移動の魔術を利用していつの間にか空中へと移動することで回避していた。


 これが、二人の開戦の合図————————



 パラドは空中を移動しながら、魔術を多重展開し、全方位から闇属性の槍を射出する。しかし、それらはルイスがライフル銃の引き金をたった一度だけ引いた瞬間に、そのほとんどが発動することすらなく消え去ってしまう。残った数発も、彼自身の素早い動きにより、命中することはなかった。


 「相変わらず、厄介なものだな。その術式は……」

 「当然だ。魔術式を宙に書きださなければならない関係上、防ぐことなどできはしない」


 ルイスは銃口を再びこちらに向けて数発弾丸を放つ。それは、パラドが空中で移動しようとも追尾し、背中を刈り取りに来る。地上に降りて森林を低空飛行し、木々にぶつければ、その木々は跡形もなく崩壊し、消えてなくなる。


 「魔術を打ち消す魔術……。加えて、なんでも消し去る魔術……。相変わらず理論はさっぱりだが、起源魔術を使っていることには間違いないな」


 パラドはため息交じりに愚痴を漏らしながら、再び上昇し相手を見据える。だが、そんなパラドを予測していたのか、視界に映ったルイスは崩れゆく砦の高台でこちらに銃口を向けていた。直後に、こちらを狙った弾丸が再び襲い掛かるが、パラドは冷静に、飛来した弾丸を手にもっている杖で弾き飛ばす。

 消し飛ばされないタネとしては単純なもの。弾丸は確かに、物質をマナに強制変換させる強力な魔術が込められている。しかし、変換後がマナである関係上、魔力を付与したものに対してはただの弾丸に成り果てる。何故ならば、既に変換後の姿になっているため、上手く発動しないからである。


 それを既に知っているパラドに悪態をつけるかのようにルイスは露骨な舌打ちをする。直後、その報復とでもいうかのようにルイスの足元に巨大な魔方陣が生まれた。

 ルイスは当然のように、それを無効化するために、銃弾を撃ち込もうとする。しかし、即座にその手をひっこめ、先ほどのパラドと同じように、瞬間移動を使用し、難を逃れた。あとほんのコンマ数秒遅ければ、吹き荒れるような空気の刃にルイスの体は切り裂かれていた。


 ルイスは、パラドの魔術を消し去ることができなかった。


 その事実を理解し、ルイスは逃げて移動した先の地面を踏みしめ、ライフル銃を握り、その銃口をパラドへと向けて睨みつけていた。


 「成る程……対策は、当然、してくるか……」

 「無策で突っ込む分けねぇだろ」


 ルイスは今の今まで、自身の持つ特殊な魔眼にて、魔術術式を覗き見て、発動しないように破壊してきた。それがパラドの言葉で言う『打ち消す魔術』である。だが、今さっき、それが通用しなかった。

 いつものように、術式を破壊しようと魔方陣をのぞき込んだのだが、即座に元の視界に強制的に戻されたのだった。まるで、それは、ルイスの干渉を拒んでいるようにすら思えた。



 打消しが使えなかったのは、今までアリッサ以外にはいなかった。だがアリッサの場合は、あまりにも発動までのラグがなく、読み取る時間がなかったが故の事象。今回の事象のように、そもそも読み取れないというものではない。


 パラドは、自らの知識をひけらかすことはしない。今回の対策に関しても、以前の経験を踏まえた上で、独自に編み出したもの……。

 たしかに、無詠唱魔術の中の無魔術式詠唱と呼ばれるような、安全装置を全て取っ払った魔術方式を採用しない限り、必ずと言っていいほど魔術式が大気に書きだされる。だからこそ、ルイスはそれを目視して、読み取り、打ち消すことができる。


 不意打ちのように見えないところで魔術を発動させるか、読み取れる限界以上の魔術を多重展開すれば打ち消せないが、それは戦略的な幅を大きく狭めてしまう。だからこそ、パラドは新しく術式を編み出した。


 術式名“ファイアウォール”————————


 それはパラドの前世のシステムから名前をとった魔術。基本構造は同じようなものであり、簡単に言い表すのならば、外部からの望まないアクセスを遮断するものである。

 魔術式が丸裸であるが故に読み取られてしまうのだから、そのアクセスを防ぐ術式を元々の魔術式の外枠に組み込んでしまえばクラッキングは起こすことができない。

 ルイスの打ち消す魔術は、魔術そのものを消しているのではなく、魔術式を破壊して発動できなくしているだけに過ぎないからである。



 ルイスは、無敵と認識していたものが、いたちごっこに変わった歴史的瞬間に思わず笑みを浮かべつつも、敵であるパラドに対して再び引き金を引く。両者ともに、相手を侮ることはない。何故ならば、互いに互いの長所を評価しているからである。


 だからこそ、遠距離での魔術戦はまさに根競べに等しかった。



 放たれた弾丸をパラドは何度も魔術や杖で叩き落とし、逆にパラドの放った魔術はルイスの素早い動きで全て避けられてしまう。その幾度となく続く攻防に、ルイスは思わず悪態をつける。


 「本当に厄介な相手だよ、お前は……」

 「それはこっちのセリフだ……」

 「パラド……お前さえいなければ、おれは……」

 「そうだな、お前さえいなければ俺は……」

 「あいつを殺さずに済んだ」「あいつを泣かせずに済んだ」


 二人の声が重なり、そしてそれと同時に、パラドが設置していた土属性の魔術を発動させ、地面から生み出した鋭い岩の槍でルイスを刺し貫く……。

 血しぶきが噴き出し、ルイスの体を真っ赤に染め上げる……。だが、これで終わっているのならば、パラドが苦労することはなかったのだろう……。


 「『肉体再構成』————————。『限界突破』————————ッ!!」


 刹那の時を経て、ルイスは刺し貫いていた岩の槍を純粋な魔力の塊で弾き飛ばす。壊れていたはずの肉体や衣服は即座に元に戻り、ルイスは地面に足を付ける。魔力の奔流を伴ったその姿は、先ほどまでとは違い、彼のセルリアンブルーの瞳は異常なまでに輝き、漏らす吐息や表情はどこか苦しそうでもあった。



 直後————————



 パラドの足元にあった針葉樹林が唐突に弾け飛び、大きな亀裂を伴って爆発を起こす。そこには魔術などが仕掛けられている形跡はなかった。しかし、実際に、空間を抉りとる爆発が起こり、周辺の木々をなぎ倒していた。


 瞬間移動していてなんとかそれを回避したパラドが再びルイスの方を見ると、ルイスは爆心地に銃口を構えたままで制止していた。


 「くそ、また起源魔術の応用か————————ッ!!」


 パラドが何かを言い終えるよりも先に、ルイスが彼の視界から消えていた。否、消えたのではなく、圧倒的な速度を持って接近してきたのである。瞬間移動をする魔術のクールタイムはまだ終わっていない。

 だからこそ、拳を振りかぶったルイスに対し、パラドは腕をクロスして受け身の体勢を取った。だが、その防御をかいくぐるように、ルイスの拳はパラドの鳩尾に命中し、体を弾き飛ばした。


 木々をなぎ倒しながら何度も地面と衝突し、胃の中のみならず、内臓すべてがかき回されたような吐き気に襲われたが、うめいている暇などない。

 こうしている間にも、追撃を仕掛けるべくこちらに滑空してくるルイスの姿が見えたからである。


 パラドはルイスの飛び蹴りをヘッドスライディングでどうにか回避し、続く連撃を不器用な動きで捌いていく。だが、その動きはやはりぎこちなく、何度もルイスが手にもっているナイフがパラドの防具とぶつかり合う。

 もしも、きちんとした防具を着てこなければ、今頃は刺し傷だらけになっていたかもしれないとパラドは歯噛みしながらも、ルイスの連撃に目を瞑らずに対処し続ける。



 パラドの弱点————————



 それは、近接武器を用いての格闘が非常に苦手ということである。

 たしかに、パラドは遠距離魔術戦においては、その知識の多さから他を圧倒することができる。しかし、一度近づかれてしまえば、レベルという肉体に頼ることしかできない。魔術の発動速度がずば抜けていいわけでもないため、近接戦では発動や詠唱が間に合うことはない。

 対し、ルイスは何らかの武術に精通している人間である。加えて、簡易的な魔術発動となれば、パラドよりも発動速度が勝っている。今の今までは、パラドの起源魔術を警戒して近づくことを避けていたが、戦闘開始前よりも異常なまでに強くなっている彼をパラドは捕えきれていないため、当然、起源魔術の発動条件である『肌同士の接触をする』を満たすことができない。


 その不利は歴然であり、防具のない場所を殴打されたパラドの口元や額からは徐々に血があふれ出し、防具が及ばない箇所に生傷を増やしていく。

 パラドは少しでも距離を稼ごうと瞬間移動をするが、即座に同様のことをして距離を詰められてしまい意味をなしていない。それでも、少しぐらいは反撃するために杖を振り回すが、容易に回避された上に、反撃として回し蹴りを受けることになった。


 右腕に命中したルイスの蹴りは、パラドが持っていたステッキ型の魔術杖を弾き飛ばす。命中した瞬間、パラドの腕はあらぬ方向に折れ曲がり、体ごと回転しながら再び地面に叩きつけられる。


 雪と泥が口の中に入り、不快な思いをしながらも、パラドは奥歯を噛みしめて四肢に力を入れる。そんな無様な姿を見たルイスは蹴り飛ばした足をゆっくりと降ろし、その場に立ち止まった。


 「安心しろ————————。お前も必ず蘇らせる」

 「過去に戻るつもりらしいが、無駄なこったな……」

 「やってみなければわからない……」

 「そうだな。こいつがセーブやロードを繰り返せるシミュレーションゲームなら楽だったんだがな」

 「言いたいことはそれだけか……」

 「いいや、まだだ……。お前の勘違いを正さない限り、俺は死ねないんでね」

 「勘違い?」


 パラドは隙を見計らって、残った左手で自分の背中につけていたマントに手を伸ばす。しかし、不審な動きをルイスが見逃すはずもなく、銃弾をパラドの眉間に向けて放っていた。


 だがしかし、それらはパラドのマントだったものに弾かれ、虚空へと消えていく。

 正確にはマントではない。解けるように分解し、包帯のような布状になったそれは、まるで生き物か何かのように奇怪にパラドの周囲を旋回する。ルイスが驚愕のあまり放心している間に、パラドは右腕に再生魔術をかけ、同時にその蠢く黒色の包帯を操り、治した自身の右腕にソレを巻き付かせた。


 「お前に勝つために、俺はありとあらゆる対策をしてきた……。それは、お前の二つ目の起源魔術である『限界突破』も含めて……だ」

 「なぜそれを……。いや、お前の力ならば……」

 「お前は3つの勘違いをしている。一つ目は、俺を高く評価していること……。本当の俺は、眼前の敵と戦闘したくないほどの臆病者でな……。正直、お前とも戦いたくはなかった」

 「ならば、協力して、“守護者”を見つけ出し、過去に戻る手立てを考えればよかっただろうに……なぜ、そうしなかった」

 「それが、お前の二つ目の勘違いだからだ、ルイス・ネセラウス……」


 何かが、立ち上がったパラドの眼前に降り注ぐ————————。

 土煙を巻き上げ、目を焼き尽くすほどの閃光がほとばしるが、熱さや痛みは感じない。むしろそれらを癒すほどに暖かく、そして懐かしくもあった。


 その感触に違和感を覚えつつ、ルイスが光に焼かれた目をゆっくりと開けた瞬間、ルイスは目を見開かれることになる。地面に突き刺さり、パラドの眼前にあるその物体にルイスは見覚えがあった。

 忘れるはずもないそれは、自らが殺した勇者ヒルデガルドの武器にして、勇者の証拠としてきたアーティファクト……


 勇者の槍杖“マルミアドワーズ”——————


 本来あるべきはずのないモノがソコにあった。ヒルデガルドの死と共に再び封印されていたそれが、パラドの呼び声に答えるかのようにそこにあったのである。


 「まさか、お前が……本当の勇者……」

 「いいや違うね……。それこそがお前の勘違い……。俺は単なる平凡な転生者の一人……勇者でも何でもない……」

 「だがしかし、お前は————————ッ!!」


 ルイスが何かを言いかけたとほぼ同時に、パラドは黒い包帯がまかれた右腕でマルミアドワーズの柄を掴み取る。その瞬間、自身の中の何か大切なものが焼き切れるような感覚に襲われ、右眼に燃えるような痛みを感じる。


 まるで、物質そのものを置き換えるかのように、パラドの右眼は元の薄い緑色のような鸚緑色から、エメラルドのような濃い翠色に変化していった。その痛みにパラドは耐えつつも、杖を引き抜き、振り回しながら槍先を地面に向けた。

 土煙と痛みを振り払うように行われたその行為はパラド自身の覚悟を表しているようにすら見える。


 「そうさ……今、俺は確かにコイツと契約した。長年付き合ってるんだ……意味が分からないとは言わせないぞ」

 「うそだ……そんなわけがない。ヒルダが勇者ではないなんて……」

 「これでわかっただろう。勇者は第一王女のヒルダでも、今ここで契約した俺でもない。ましてや、お前や、その他の誰でもない……」

 「だが、オレは確かに神から啓示を受けて———————」

 「いないんだよ————————ッ!!!」


 パラドが腹の内から怒るような荒らげたような声を出す。柄を強く握りしめ、亡き友人に捧ぐ様に、被害者であるルイスを睨みつけた。


 「はじめから……“勇者”なんていうものは……存在しない。あるとすれば、それは人々が勝手に祭り上げた“被害者だれか”か、お前のいう神様が勝手に当てはめただけの“役者だれか”だ」

 「お前にも勇者としての適正があっただけかもしれないだろ」

 「いいや……マルミアドワーズこいつは勇者だから契約させるんじゃない。十全に扱えると思うやつと契約しているだけだ……。たまたま、そいつが活躍して、勇者と呼ばれただけに過ぎない……」


 ルイスは、自分の前提が覆されたことに驚き、顔の半分を手で覆い隠し、自らの表情を見せない努力をし始める。


 「だとしたらおれは……いや、だからこそ、おれはアイツを蘇らせるために……」

 「悪いが、俺はそれを許すつもりはない。俺はそんな不確かなものに縋る気がないからな……」

 「悔しくないのか? 取り戻したいと思わないのか!!」

 「悔しいし、できるのならばもう一度、会って謝りたいさ……。だがなぁ……それを理由に誰かが傷ついていいわけねぇだろ!」

 「子供のような考えだな……。それはワガママということがわからないのか」

 「——————ワガママ結構!! そのワガママを果たすために俺はここにいるんだからな!!」


 パラドは勇者の槍杖マルミアドワーズの槍先を十数メートル離れたルイスの喉元に突き立てる。

 彼に立ち止まる気配はない……

 何故なら、第一王女のワガママを叶えることが彼の役目であるから——————



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