第141話 無線

そのあとも、植松や山本とは連絡が取れた。


というのは、彼らはアマチュア無線家だったから。



70年代半ばは、無線が連絡ツールだった。



アマチュア無線の免許を取る前はCB無線で

GS400Eに、今は乗っている洋一と知り合ったのは

そのCB無線だった。


河原を歩いていると、無線機を持って話している中学生がいて

アマチュア無線の子もいたけど、そうではない無線機を持っている子も居て。


クラスメートにも、何人かいると解った。



近所の土建屋の子、森くんが

コミュニカ46ch、と言うものを持っていて

見に行ったら

弁当箱型の、なんとなく怪しげな無線機(笑)と、ケーブルをつないで

アンテナを窓の外につけていた。


今思うと、自動車から外してきたのだろうと思う。



ソニーのラジオカタログにも載っていて。

little johnと言う名前だった。


それが、たしか70年頃。小学校5年だったか。



中学の2年だったか、兄がその無線機を買ってきて。


よく、夜になると無線で話をした。



それで、つながったのが・・・・川向こうの中学に通っている洋一たちだった。


洋一は当時からアロハを着たり、けっこう族ふう。


だったけど、さっぱりしたヤツだから女の子にモテて。



洋一の友達の堤さんとか、かわいいコと無線で知り合えたりして。



夏祭りの時とか、CBを持って行って・・・それで連絡しあう。

今の携帯電話みたいな、SNSみたいな。

そういう出会い系(笑)だったりもして。



夏祭りのお化け屋敷に、女の子と一緒に入って

抱きつかれて喜んだり(笑)。



まあ、当時の中学生だから、出会って直ぐにぬっぱぬっぱ・・・・(笑)なんてことはない。


楽しく明るい社交であった。



大人の方のCB無線は、違法な23chとか、46chとかで

そっちは結構怖いらしい話だったけど


2chの合法無線は、そういう人は出てこなかったから安心だった。




後で、国家試験を受けてアマチュア無線家になった。

当時は年に2回、晴海の試験場で受けられて。


そのくらいしか、受験者がいなかったのもあるけれど。


それで無線家になった。

144MHZの無線機を買って、それを、いつも持っていて

連絡をしあった。


当時はとても空いていて、いつも同じchで待ち受けていて

友達と話をしたり。


連絡したり。


そうそう、オートバイのツーリングでもとても便利だった。

ケータイがない時代であるし・・・ケータイと違って

走りながら話せる。



スキーとか、スケートの時とかも

小さなトランシーバーを持っていくと便利だった。


それは、今も変わらないけれど。





・・・なので。

81年。会社を辞めてひとりになっても

無線機を持っていれば、ひとりではなかった。


仕事を辞め、セブンイレブンで夜のバイトをしていても

無線をイヤホンで聞いていて。誰かが出ると答えたり。


余って捨てる弁当とか、おにぎりとか、おでんとかを

奴らに上げたりした(笑)。



結構、ありがたかったと

当時の無線仲間もそう言っている。





その無線仲間には、バイク乗りもいる。


例のRZ250R=>350の大工、Lotus7に出てくる

S12の彼もそうだし


(そうそう、彼はさいしょXJ400Dに乗っていて

アイスバーンで転倒、なぜかフレームが歪み

自分で交換、打刻した)。


その友人にも居た。


Z400GPで、スズキ・マイティーボーイにDIVE!して

マイティボーイを全損にしたヤツとか。


今も友人である。



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