異世界転移の場合┈┈case-7
どうすれば有名になれる?
どうすれば人気になれる?
アタシにはずっと叶えたい夢がある。
アイドルとか女優とか。
何でもいいからスターになりたかった。
でも養成学校とかはお金かかるし、何よりまどろっこしくてムリ。
だったらスカウトしてもらえばお金もかからないし手っ取り早いじゃん?
SNSで有名で人気者になればスカウトなんてすぐでしょ。
そう思い立ってから毎日毎日投稿してる。
それなのに全然フォロワーが増えてくれないの。
おかしくない?
着てる服だって毎回変えてんだよ?
持ってるバッグとか小物もぜーんぶ。
流行りのブランドもしっかりおさえてんのに。
ネイルだって週一でサロンに行ってやってもらってるし、髪だってヘッドスパとか美容院に行きまくってるし、スキンケアも化粧水から洗顔クリームまでこだわりまくってんのに。
プチ整形もした。
そもそも何もしなくてもアタシは可愛いから、あくまでプチだけど。
ここまでやっても、人気が出ないとか絶対におかしい。
…最近はクレカの支払いが間に合わなくなってきてる。
四枚全部、限度額いっぱいに使ってるから。
こんなに苦労してんのに、どうして誰もアタシの魅力に気付かないのよ。
…カードが使えなくなったアタシは、すぐに返せばいいやって思って、金融にお金を借りた。
少しでも投稿を止めてしまうと、きっとアタシが有名になるチャンスも逃しちゃうと思ったから。
…気付いたらアタシは複数の金融でお金を借りてたし、タチの悪いとこにも借りちゃってたらしかった。
金利で膨れ上がった返済額は、とてもじゃないけど返せるもんじゃなかった。
家にまで取り立てが来るようになって、しばらく家を空けて逃げてようと思った。
まだ夜中だったけど、キャリーバッグに化粧品とブランド品と…、とにかくSNSの更新に必要な物をいっぱい色々詰めて、玄関から飛び出した。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
玄関先は森の中だった。
もちろん、アタシの家があったのは都会だしマンションの四階よ?
夢でも見てんのかと思ったけど、後ろを振り返っても森しかなかった。
よくわかんないけどとりあえず森の中を歩き回ってたら、田舎っぽい村があった。
村の入口で剣を向けられた時はマジでビビって叫んじゃった。
警察呼んでって叫んだのに誰も呼んでくれなくて、銃刀法違反ってやつじゃないの?ってなった。
とりあえず自分のスマホで警察呼ぼうとしたらまさかの圏外。
SNS更新できないじゃん…。
そんなことしてたら村の入口にいた人たちに連れてかれて、取り調べみたいなことされた。
話してく内になんか話が噛み合わんくてめっちゃ質問したよ。
で、天才なアタシは理解った。
ここ、アタシの知ってる世界じゃなくね?って。
だって皆スマホ知らないし、電気水道ガス知らないし。
カミサマとかリアルにいるらしいし。
一番ヤバかったのは星の名前が違ったから。
星座とかもないみたいだったし。
色々無さすぎてありえないって思ったけど、逆にチャンスだって思った。
取り立てもないし。
この世界に無いもんアタシが発信してけば、アタシがインフルエンサーになれんじゃんって。
知らんかった。
情報発信するのってめっちゃ怖いことだって。
アタシが言ったことって全部この世界的には画期的らしい。
アタシがキャリーケースに詰めてた化粧品とか洋服も、なくなったら困ると思って真似して作ってもらったらめっちゃ人気出て、アタシは美のカリスマ扱い。
こういうの求めてたんだよ、とか思ってたら、都会の偉い人が来てアタシも都会に連れてかれることになったの。
遂にスター扱いかなってめっちゃ嬉しかった。
そしたらアタシ、偉い人の家の部屋に閉じ込められた。
なんでよ!
アイディアだけ教えろ?
ふざけんなし!!
アタシが人気出てきて嫉妬すんなよ!
そんな感じで言ったら、左手の小指一本切り落とされた。
超泣いた。
それからは毎日毎日、アタシの世界では当たり前のアイディアを出し続けた。
出し渋ったり、文句を言うと、すぐ指を切り落とされるから。
残る指はあと六本。
今まで四本もアタシの可愛い指は切り落とされてんの。
もうネイルいじれないじゃん。
というかアタシもう有名になりたいとかどうでもいいからさ。
家に帰してよ。
今なら養成学校とか行っても泣き言言わないからさ。
アタシこっちの世界来る気なかったし理不尽じゃん。
お願いだって。
もうそろアタシのアイディアなくなっちゃうんだもん。
お願い助けて。
-----------------
転移例 No.7 …成人:D
転移先 …中世的な世界
死亡原因 …恐慌状態と強い痛覚刺激からの心肺停止
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます