第5話

「近過ぎる...」


「オーナーシェフとか、もと職場のみんなと顔合わせたくない...」


「気にするな、そんなこと!」


父親はノリノリ。俺はついさっきまでノリノリだったけど、真横と聞いて気が重くなった。

だが。独立して自分のお店を持てるなんて、しかも、破格で持てるなんて、願ってもないこと。


俺は背中を押されて、意を決してやることにした。


自分の店のオープンまで、

父親の店で料理修行と、

隙間時間にドルチェを作っては

お客さんにサービスで出して感想を聞いた。


最初は、


「甘過ぎるよ!これ、しつこい甘さ」


などと酷評されてたシフォンケーキとかも

ながては上手に作れるようになって、


「美味しい!買って帰りたい!」と

言われ、俺は舞い上がった。


チョコレートケーキや栗のムースとかも

何度も試行錯誤して作った。




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