塩田さん:18歳同級生 ~放課後の教室にて~

あの子と付き合ってるんだよね?


どうなの? いい感じ?


ふーん、そっかあ……。


てゆうか、そんなにわたしに自慢する?


そこまで言われちゃうと正直引くかも。そんな熱いのは結構ですよ。


えっ? 訊いてきたのはこっちだって?


そりゃ、まあ、そうなんだけど。


なんてゆうか……。


うん。わたし、人の幸せより不幸の方が好きだからっ。


ひどいやつだって? そうよ。悪い? ひどいやつなんですよ、わたしは。


でも、大抵の人ってそうだと思うよ。口だけ幸せを願ってるもんだよ。そんなもんよ。みんな周りからよく思われたいからね。人の心なんてわからないもんよ。


だいたい知ってるでしょ。子供の頃からわたしのこと知ってるんだし。


わたしもあんたのこと、よく知ってるから。


だから……。


からかってやろうかと思ったのよ。どうせ、うまくいってないんだろうなってね。変な趣味とかばれて、あたふたしてんじゃないかなってね。


ちょっと、そんなに怒らないでよ。


うそよ、うそ。そんなに怒らなくていいじゃん。


ちょっとした、かわいい現状確認ですよ。


重要でしょ。現状確認って。なにか問題が起きてないかなあってさ。


え?


かわいくないって?


余計なお世話ですよ。女子なんてね、こんなもんよ。理想通りの人なんていません。


あんたは知らないけど、結構もてるのよ、わたし。知らないでしょ?


なにげに高嶺の花ってやつだから。この前もね、誘われたから。カラオケに。


ま、行かないけどね。


全然、仲良くないサッカー部のやつだったし。しかも、年下。


意外?


なにそれ、意外って。


わたしのこと過小評価し過ぎじゃない? かな~り、人気あるから、わたし。


ほら! やっぱり知らないじゃない。


まあ、全然知らないよね。わたしのことは……。

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