不機嫌
カイルの朝の仕事が終わるのを彼のオフィスの近くで待っていたら、会うなり何も言わずにいきなりキスをしてきた。だけどその後はずっと不機嫌。行こうと思ってたカフェは電車で10分足らずなのに、「近場でいいでしょ。」と言う始末。カイルの職場近辺は私が普段行く場所じゃないし、そんなにいい店もないから、私が最初から行こうと思っていたカフェへ。歩いてる途中「そのカフェに行くことが任務みたいになってるんでしょ。」と嫌味を言って来たけど無視。帰りたくなったけど、こんな日もあるかなと思ったし、何せ私が彼に初めて会った時に私自身がすごく不機嫌だったし、彼はそれに耐えたわけだから、埋め合わせはしたとは言え、借りがあるなと思って我慢することにした。でもカフェに着いてもほとんどずっとスマホをいじっていた。
お昼ご飯の場所に向かっている時に
「浮気してるなら知りたくないな〜。」とふっかけたら、
「知る方法はいくらでもある。そういうのはどうにか見つかるもの。」とカイル。
「いや分からないでしょ。ところで、カイルにとってのdeal breaker(別れのきっかけになるもの)って?」
「deal breakerというか、男とか男友達に会ってflirt(上手く訳せない単語の1つ。色目を使うとか思わせぶりな態度をする的なニュアンス)したら十分酷い。」
「男と会って男がflirtするかなんて、私のコントロールの範囲外なんだけど。」
「ただ会わなければいいだけ。」
「で、君のdeal breakerは?」
「キスだね。」
「してないから大丈夫。」
男が色目を使うだけでだめというのは許容度が低いと思った。後日、男友達に「浮気の境界線って意味なら、やるよりキスの方が断然だめ。」と言ったら「キスの方がパーソナルだからでしょ?」と彼。「キスしないでしたことある?」と聞いたら、「ないけど、キスなしは酷い。”君のこと好きじゃないけど利用させて”って言ってるようなもんだし。」と言っていた。私もそれには同意。
お昼を食べている時に、
「結婚する気ないなら、恋愛のゴールってなんなの?」と聞いたら
「ただの恋愛。長く付き合って同棲すれば内縁の関係として法的には認められるけど。」とカイル。
「30代の人と付き合うとみんな結婚したがるでしょ。」と言ったら
「そんなことない。」と居心地悪そうに答えていた。
「振る派?振られる派?」と聞いたら、「日本なら振る派。」と言っていた。
「私も振る派。でも心配しないで。ストーカーみたいになるわけじゃなくてあっさり去るから。」と言ったら、
「もう計画してるの?なんなら今やれば。そのうち君は僕を捨てるでしょ。そんなに僕のこと好きじゃないし。」と言って来たから、「そんなことない。」と言った。
彼のスマホの電源が切れて、プライベートレッスンの予約を逃したと怒り始めたから、充電する為に携帯ショップに行った。デパートのトイレの前でキスをして来たけど、むらのある感じが嫌だったから早く帰りたかった。
次の日はずっと行きたかったランチを予約したけど、次の日も不機嫌。ランチを予約してなかったら「時間ある時にメールして」と言って去ったけど、予約をしていたから去ることが出来なかった。でもレストランに着いて、ランチを食べたらカイルは大満足で機嫌が直っていた。ただ、そのあともずっと遊べるようなことを前日は言っていたのに、友達にプロレスのチケットを売りに行かなきゃいけないと言って去った。すごくいいホテルを予約していたのに不愉快だった。チケットを売って夕方に戻って来たけど、道に迷ってホテルにはたどり着かず。仕事に戻り結局ホテルに来たのは10時。本当にチケットを売りに行ったのかも怪しかったし、職場の近くで待っていたのに、職場からは出てこなかった気がした。気づいたら駅の反対側の出口にいた。
次の日、また駅まで送ってくれたけど、なんだか今回はそんなに私と時間を過ごしたい感じじゃなかったし、会いにきてこんなに不機嫌ならやってられないと思い、他に用事がなければ東京に来る回数を減らしてもいいかなと思い始めてた。この時の態度がクズの片鱗だった気がする。
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